ある日、長女(小4)が、テレビで何かのお菓子作りの番組を見ていました。
「ねえ、母さん、マシュマロって、家で作れるんだって」 「えっ、ほんと?」 「うん、レシピ出てた」
それを聞いたわたし、「じゃあ、今度の日曜日、一緒に作ってみようか」と、軽い気持ちで答えてしまいました。
これが、なかなか壮大な実験になるとは、その時のわたしは知りませんでした。
長女、目をキラキラさせて「やる!やる!」と。 中2の長男も、「マジでマシュマロって作れんの?」と興味津々。 夫は「市販のを買えばいいじゃん」と、いつもの夢のないコメント。
それから1週間、わたしは、自分が言ってしまった**「マシュマロを家で作る」プロジェクト**に向き合うことになりました。
今日は、その「家でマシュマロ作りに挑戦した、わが家の実験記」を、お話しさせてください。 結論から先に言うと、けっこう難しかった。 でも、それなりに楽しかった、そんな話です。
まず、レシピを調べた
マシュマロを家で作る、と決めたものの、わたし、レシピをまったく知りません。 ネットで「マシュマロ 作り方」と検索してみたら、けっこういろんなレシピが出てきました。
調べてみてわかったのは、
マシュマロ作りには、いくつかの方式がある
ということ。
①卵白を泡立てる方式
メレンゲを作って、そこにシロップを混ぜていく、本格的なやつ。 プロのお菓子屋さんが使う方法に近い、と書いてありました。 お店のマシュマロのような、しっかりした食感になるとのこと。
②卵白なし、ゼラチンとシロップだけの方式
メレンゲなし、ゼラチンを溶かしてシロップと合わせて、ひたすらハンドミキサーで泡立てるタイプ。 初心者向け、とよく書いてある。 「家庭で作るなら、こっちが簡単」と、複数のレシピが書いていたので、わたしはこの②の方式で挑戦することにしました。
③棉花糖(中華風マシュマロ)
中華圏では、また少し違う作り方をするらしい。 これは今回はスキップ。
わが家で用意したもの
レシピを見ながら、必要なものを揃えました。
- 粉ゼラチン(スーパーで200円くらいの小さい袋)
- グラニュー糖(家にあったやつ)
- 水あめ(これ、買い忘れて、買い直し)
- コーンスターチ(なかったので、片栗粉で代用、これが伏線)
- 粉砂糖(なかったので、グラニュー糖をすり鉢で潰して代用、これも伏線)
- バニラエッセンス(風味づけ)
- バット(お菓子用の四角い型、なかったので牛乳パックを切って作った)
道具:
- ハンドミキサー(これ、絶対必要)
- 温度計(なかった、これが大きな伏線)
- 鍋
- ボウル
「温度計ない、お菓子の型ない、コーンスターチない、粉砂糖ない」 書きながら、わが家、けっこう、何もないことに気づきました(笑)
日曜日、ついに実験開始
日曜日の午後、長女と長男が「お母さん、マシュマロ、いつ作るの?」と、朝から興奮気味。 夫は、ソファでくつろぎながら「俺は見てるだけだから」と、安全なポジションを確保。 ミケとソラ(うちの猫2匹)は、まったく興味なし。
レシピを見ながら、台所で始めます。
ステップ①:ゼラチンをふやかす
粉ゼラチンを水に振り入れて、ふやかす。 これは、いつもの料理と同じなので、問題なし。 長女が「お母さん、ぷるぷるしてきた!」と、テンション高め。
ステップ②:シロップを煮る
グラニュー糖、水あめ、水を鍋に入れて、火にかけて、110度くらいまで煮詰める。 レシピには「温度計で測ってください」と書いてある。
ここで、わたしは、温度計を持っていない自分に直面しました。
「温度計、ないんだけど」 「ええっ、それじゃ作れないじゃん」と、長男。 「勘でいくしかない」と、わたし。
ここからが、もう、勘の世界。 レシピの写真と、自分の鍋を見比べながら、「たぶん、これくらい?」と判断するしかない。
ふつふつと泡立ってきて、少し色が変わってきた頃合いで、「今だ!」と火を止めました。 あとから思うと、これ、たぶん、ちょっと早かったかもしれない(伏線回収)。
ステップ③:ゼラチンと合わせて、ハンドミキサーで泡立てる
ふやかしたゼラチンを、煮詰めたシロップに加えて、混ぜる。 そして、ハンドミキサーで、ひたすら泡立てる。
ここで、長男に交代してもらいました。 中2男子、けっこう力があるので、ハンドミキサーを安定して持ってくれる。 長女は「わたしもやりたい」と言ったけど、まだ小4には重そうだったので、応援役に。
ハンドミキサーで、ぐるぐる、ぐるぐる。 白く泡立っていくのを見て、長女が「わー、本当にマシュマロっぽくなってきた!」と、目を輝かせる。
5分、10分、ぐるぐる泡立て続ける。 だんだん、もったりしてきて、ふわふわの白い泡が、ボウルいっぱいに。
「これ、ちゃんとマシュマロになるんじゃない?」 わたしも、ちょっとワクワクしてきました。
ステップ④:バットに流し込んで、冷ます
牛乳パックを切って作った即席バットに、コーンスターチの代わりの片栗粉を敷いて、泡立てた生地を流し込む。 表面をならして、冷蔵庫へ。
レシピには「2〜3時間冷やしてください」とあるので、その日の夕方まで待つことに。
「できたかな?できたかな?」 長女が、30分おきに冷蔵庫を覗きに行く(笑)
数時間後、ご対面
夕方、いよいよ取り出してみました。
牛乳パックの型から、そーっと、出してみる。
「あれ、なんか、べたっとしてる」
期待していた、ふわっと弾力のあるマシュマロとは、ちょっと違う。 形は一応あるんですが、全体的にしっとり、ねっちょりしている。
長女、「お母さん、これマシュマロ?」 長男、「べたついてる」 夫、「まあ、こんなもんじゃない?」
切ってみると、断面は、確かにマシュマロっぽい。 気泡もちゃんと入っている。 でも、市販のマシュマロみたいな、ふわっとした軽さがない。 ねっちょりとした、密度のあるマシュマロになっていました。
食べてみたら、けっこう美味しかった
ちょっとがっかりしながら、ひとつ、口に入れてみました。
「あれ、けっこう美味しい」
形は失敗っぽいけど、味は、ちゃんとマシュマロ。 というか、市販のものより、甘さが控えめで、上品な味かもしれない。 ゼラチンの食感も、ねっちりしてるけど、これはこれで悪くない。 バニラエッセンスの香りも、いい感じ。
長女が「わたし、これ好きかも」と。 長男も、もぐもぐ食べながら「まあ、悪くない」と。 夫も、しれっと2個目に手を伸ばしている。
家族全員、気がつくと、けっこうな量を食べていました。
完璧なマシュマロにはならなかったけど、家族のおやつとしては、ぜんぜんアリ。
これが、わたしの結論です。
失敗の原因を、振り返ってみた
夜、子どもたちが寝てから、わたし、自分の作ったマシュマロを思い返して、何が悪かったか考えました。
①温度計がなかった
これがいちばん大きい。 シロップの煮詰め方が、たぶん足りなかった。 110〜115度まで煮詰めるはずなのに、わたしは「勘」で、100度くらいで止めてしまった気がする。 シロップの煮詰めが甘いと、水分が多くて、ねっちりした仕上がりになる、と後で知りました。
②コーンスターチを片栗粉で代用した
これは、たぶん、表面のサラサラ感に影響している。 コーンスターチのほうが、粒子が細かくて、マシュマロ表面の打ち粉として優秀。 片栗粉だと、ちょっと粒が粗くて、しっかりまとわりつかない。 代用は、可能だけど、仕上がりは違う。
③泡立てが足りなかったかも
レシピには「白っぽくフワフワになるまで」と書いてあるけど、ハンドミキサーで何分回したらいいのか、明確じゃない。 たぶん、もう少し、しっかり泡立てたほうが、空気を含んだ軽いマシュマロになったのかも。
④ゼラチンの量?
これは、レシピ通りに入れたつもりなんですが、ねっちり感が強い理由として、ゼラチンが多めだったのかも、と少し疑っています。 次に作るときは、もう少し減らしてみようかな、と。
わたしの学びと、これから
今回の実験で、わたしが学んだこと、まとめておきます。
①家でマシュマロは作れる。だが、市販のあのふわふわは、なかなか難しい ちゃんとした道具(温度計、コーンスターチ、お菓子用バット)を揃えないと、たぶんあのレベルは出ない。
②道具と材料を、ケチると、それなりの結果になる わが家の代用品作戦は、ある意味、それなりに機能したけど、それなりの仕上がり。
③でも、家族と一緒に作る時間は、楽しい これが、いちばん大きな収穫。 完璧なマシュマロを作れた、というのと、家族で「わー、できた!」「ちょっと変だね(笑)」と笑い合えた、というのは、別の話。
④失敗作も、それなりに美味しい 家族で食べる分には、十分OK。 むしろ、市販のより甘さが控えめで、お母さんの手作り感がある。
⑤次は、温度計とコーンスターチを買ってから挑戦したい 失敗を経験したから、次は前進できる。
ところで、マシュマロって、どこから来たの?
実験の後、ふと気になって、マシュマロの歴史も調べてみました。 これも、けっこう面白かったです。
マシュマロって、元々はウスベニタチアオイという植物の根から取れる粘液を使って作られていた、古代エジプト時代からあるお菓子だそうです。 英語で「marshmallow」というのは、「marsh(湿地) + mallow(タチアオイ)」から来ていて、つまり「湿地に生えるタチアオイ」のこと。
現代のマシュマロは、もうウスベニタチアオイは使わず、ゼラチンと砂糖で作られるようになっていますが、名前だけは昔のままなんですね。
何千年も前から、人類は「ふわふわした甘いもの」を食べてきた。 そう思うと、わが家のねっちりマシュマロも、人類のお菓子文化の、ささやかな一部、ということになるのかも(笑)
子どもたちの感想
翌日、長女に「ねえ、また作る?」と聞いたら、
「作る!でも、次はもっと、ふわふわのやつ作ろう!」
と、すごく前向きな返事。 失敗してても、子どもにとっては、それなりに楽しい体験だったみたいです。
長男は、ちょっとクールに、「温度計、買えば、もっとうまくいくんじゃない?」と、的確なアドバイス。 中2男子、たまにいいこと言う(笑)
夫は、「結局、家のおやつとしては、十分美味しかったよ」と、夫らしい現実的なコメント。 言葉は地味だけど、優しい人なんですよね、夫。
さいごに
ある日曜日の午後、家で挑戦したマシュマロ作り。 結果は、ねっちりした、完璧とはいえない仕上がり。 でも、家族で「わー、できた!」と盛り上がって、それなりに美味しく食べて、夜には「次は、こうしよう」と話し合う。
それが、たぶん、家でお菓子を作ることの、本当の意味なんでしょうね。
完璧なマシュマロは、お店で買えばいい。 家で作るマシュマロは、家族の時間ごと、味わうもの。
それで、十分なんだと思います。
それでは、もし「家でマシュマロ作れるかな?」と気になっている方がいたら、ぜひ挑戦してみてください。 温度計とコーンスターチを揃えてから、というのが、わたしからのおすすめです(笑)
そして、失敗しても、それはそれで、いい思い出になりますよ。
