夕方の話です。
長女(小4)が、公園から帰ってきたばかり。 わたしは台所で、夕食の支度をしていました。
そのとき、
ピカッ、ゴロゴロゴロゴロ……
家の中まで、明るい光が差し込んで、そのあと、低い雷の音。 わたし、思わず手を止めて、窓の外を見ました。 さっきまで、ちょっと曇り空、くらいだったのに。
慌てて、スマホで天気アプリを開きました。 雨雲レーダーを見て、
「ええっ、雷雲、わが家の上にある!?」
その時点で、画面に映っていた雷雲の予想は、
**「10分後にゲリラ豪雨」
つまり、もう、降ってる、というか、鳴ってるところ。 10分後の予想を見ても、間に合わない。 急いで、ベランダの洗濯物を取り込んで、窓を閉めて、子どもたちを家の中に集めて。 バタバタしているうちに、
ザーーーー!
すごい音と一緒に、本当のゲリラ豪雨が、わが家の屋根を叩き始めました。
ベランダに洗濯物、ちょっと残っていた。 あれは、もう、しっとり、ではなく、びしょびしょ。
「雨雲レーダー、ぜんぜん間に合わないじゃない!」
わたし、思わず、声に出てしまいました。
今日は、その「雨雲レーダーって、なんでこんなに雷を予測してくれないんだろう」という、わたしの素朴な疑問を、調べてみた話を、書かせてください。
最近、本当に多い、急な雷雨
梅雨の終わり頃から、ずっと、急な雷雨が多いんですよね。
特に、午後から夕方にかけて、
- 空がいきなり暗くなる
- 遠くで、ゴロゴロ聞こえる
- 20分後には、ものすごい雷雨
このパターンを、6月だけで、もう、何回経験したかわからない。
そのたびに、わたしはベランダにダッシュして、洗濯物を取り込み、窓を閉めて、エアコンを止めて、雨戸も閉める。 全力疾走の主婦の運動会。
そして、決まって思うんです。
「スマホの雨雲レーダー、もうちょっと早く教えてくれないかな……」
10分後の予想を見ても、もう降ってる。 1時間後の予想を見ても、わが家の上に雷雲なんてなかったはず。 それなのに、突然、雷雲がやってきて、突然、雨が降る。
これ、なんで??
雨雲レーダーの仕組みを、調べてみた
調べたら、雨雲レーダーって、けっこう、興味深い仕組みでした。
地上にある気象レーダーから、電波を空に向けて発射するんだそうです。 その電波が、空の雨粒に当たって、跳ね返ってくる。 跳ね返ってきた電波の強さや方向を分析して、
「今、ここに、これくらいの強さの雨が降っている」
というのを地図上に表示している。 それが、わたしたちがスマホで見ている雨雲レーダー。
つまり、
「雨雲レーダーは、すでに存在している雨雲を映している」
ということ。
調べていて、わたしは「え、つまり、リアルタイムだけ?」と思いました。
「予想」は、どうやってるの?
そこで、もうひとつ調べました。
「10分後の予想」「1時間後の予想」って、どうやって出しているのか?
これは、
「今ある雨雲の動きを観測して、これから先の動きをコンピューターで予測している」
という仕組みらしい。
つまり、
- 今ある雨雲A → 風で東に動いている → 10分後にはここに来るはず
- 今ある雨雲B → 発達している → 1時間後にはもっと強くなるはず
こういう計算を、たくさんしている。
これ、聞いた瞬間、わたし、ピンときました。
「じゃあ、今、雨雲がない場所に、急に発達する雷雲は、予測できないんじゃない?」
そう、まさにそれが、ゲリラ豪雨や急な雷雨の正体だったんです。
ゲリラ豪雨が、予測できない理由
調べたら、ある気象会社の公式サイトに、こんな説明がありました。
「ゲリラ豪雨をもたらすような急速に発達する積雲は、雲の発達速度にレーダーが追いつけない」 「急な雨が降った、しばらく後に、レーダーに表示される、ということもある」
これ、わたし、衝撃でした。
「降った後に表示される」って、もう、予想じゃない。
つまり、
- ゲリラ豪雨の雷雲は、数十分で急速に発達する
- レーダーの観測サイクルが、その速度に追いつけない
- 結果、雨が降り始めても、レーダーに映らないことがある
これが、わたしが何回も経験している「雨雲レーダーを見たら、何もないのに、空からは雨が降ってきた」の正体。
レーダーが嘘をついているわけじゃない。 気象現象が、レーダーの観測能力を超えているんです。
雷は、もっと予測が難しい
ついでに、雷について調べたら、もっと興味深かった。
雷というのは、
- 積乱雲(雷雲)の中で起きる
- 雷雲は、数十分で急速に発達することが多い
- 発生から消滅まで、せいぜい1時間程度の局地的な現象
つまり、雷雲は、
「現れたと思ったら、急速に成長して、すぐに移動して、消える」
という、ものすごく速いペースで動く。
これを、地上に設置された気象レーダーで、10分単位で正確に追い続けるのは、技術的に、本当に難しい。
調べたら、最新の技術として、「フェーズドアレイ気象レーダ」というのがあって、これは30秒ごとに観測できて、ゲリラ豪雨の予測の的中率は80%以上だそうです。 すごい技術。 でも、
80%以上、ということは、20%は外れる
ということでもある。
しかも、まだ全国に普及しているわけじゃない。 わたしのスマホアプリは、たぶん、もっと古いシステムをベースにしている。
そりゃ、当たらないわけだ、と納得しました。
わたしの最近の運用ルール
これだけ調べて、結論として、わたしは、こう決めました。
「雨雲レーダーは、信じすぎず、参考にする」
具体的には、
①レーダーで雨雲が見えていない時間でも、油断しない
特に、
- 梅雨末期から真夏にかけて
- 午後から夕方にかけて
- 湿度が高く、空が蒸し暑い日
こういう日は、急に雷雲が発達する可能性がある。 レーダーに映っていなくても、空を見て、判断する。
②空を、自分の目で見る
実は、これがいちばん、当たります。
- 黒い雲が、急速に湧き上がってきた
- 遠くで、ゴロゴロ聞こえる
- 急に、風が冷たくなった
- 湿った空気が、ふわっと顔にかかる
これらのサインが見えたら、もう、雷雲が近い。 スマホよりも、自分の目と耳のほうが、早く気づくことがある。
③洗濯物は、夕方早めに取り込む
夏は、午後3時くらいまでに、もう取り込む。 仮にその日は降らなくても、安全側に倒す。 **「ちょっと早すぎたかな」**で済むなら、それでいい。
④雷の音が聞こえたら、すぐに行動
10分後の予想を見るより、**「今、聞こえる音」**のほうが、確実な情報。 雷の音が聞こえたら、
- 洗濯物を取り込む
- 窓を閉める
- 子どもたちを呼ぶ
- 外にいる家族に連絡
これだけは、レーダーに頼らず、即実行。
カラスとうろこ雲と、雨雲レーダー
これ、わたしの「雨と予兆」シリーズの中で、けっこう面白い対比になります。
| 予兆の方法 | 当たり方 |
|---|---|
| カラスの鳴き声 | 当たったり外れたり(科学的根拠は薄い) |
| うろこ雲 | 3日以内に雨、7割の的中率 |
| 気象庁の台風予報 | 70%の的中率(予報円の設計) |
| 雨雲レーダー(10分後) | わりと当たる(普通の雨の場合) |
| 雨雲レーダー(ゲリラ雷雨の予想) | レーダーが追いつかない、20%は外れる |
これを見ていると、
「スケールが小さく、急激な現象ほど、予測が難しくなる」
という法則があるみたい。
大きな台風は、5日先までだいたい予測できる(誤差はあるけど)。 でも、目の前で発達する雷雲は、10分後でも、予測しきれない。
これ、自然というものの面白さでもあります。 人間が、どれだけ技術を進歩させても、目の前で発生する現象は、自然のほうが、人間より少し早い。
雷は、本当に怖い
ここまで、ちょっとカジュアルに書いてきましたが、実は、雷って、本当に危険なんですよ。
調べたら、
- 木陰での雨宿りは、雷の場合は逆に危険(高い木に雷が落ちる)
- 金属を持っていなくても、屋外では落雷のリスク
- 頑丈な建物の中に避難するのが基本
主婦のわたしが学んだ、わが家の雷対策:
- 雷の音が聞こえたら、家の中に(屋外活動は中止)
- 電化製品は、コンセントを抜く(落雷で家電が壊れることがある)
- ベランダや窓際から、離れる(直撃のリスク)
- 子どもが外にいたら、すぐに連絡を取る
毎年、雷で亡くなる方も、いらっしゃる。 **「当たらない予報」を批判するより、「自分で気をつける」**ほうが、ずっと大事だと思います。
子どもたちと、雷の話
夕食のとき、子どもたちに、調べた話をしました。
わたし:「ねえねえ、雨雲レーダー、雷の予想が当たらないの、理由わかった」 長男(中2):「なんで?」 わたし:「雷雲って、急に発達するから、レーダーが追いつかないんだって」 長男:「ふーん、技術の限界、ってやつか」 長女(小4):「じゃあ、お母さん、これからどうするの?」 わたし:「空を、ちゃんと自分で見る」 長女:「えええ、原始的!」 夫:「結局、それがいちばん」
夫の「結局、それがいちばん」、これ、本当にその通り。
最新のテクノロジーがあっても、最後は、自分の目で空を見る。 これが、いちばん早くて、いちばん確実。
長男も、ちょっと感心したように、
「昔の人、毎日空見てたんだろうな」と。
そうそう、それなんです。 昔の人は、毎日、空を見ていた。 だから、空の変化に敏感で、雷の前触れを、ちゃんと感じ取れていた。 わたしたちは、スマホばかり見て、空を見なくなった。 だから、雷に驚く。
わたしが最近やっていること
子どもたちの話を受けて、わたし、最近、ちょっと意識していること。
「1日1回、空を見上げる」
朝、洗濯物を干すとき。 夕方、買い物の帰り道。 夜、お風呂上がりに、窓から。
ただ、見上げるだけ。 雲を見て、「今日はうろこ雲だ」とか、「入道雲っぽい」とか、心の中で名前をつける。
これ、たぶん、雷の予測能力を、ちょっとだけ高めてくれる気がします。 そして、なにより、毎日の暮らしが、ちょっとだけ豊かになる気がします。 スマホの天気予報を見るだけより、ずっと。
さいごに
10分後の雷予想を見ても、雷は突然、わが家の屋根を叩く。 雨雲レーダーを信じても、ベランダの洗濯物は、びしょびしょになる。
それでも、わたしは、雨雲レーダーを使い続けます。 完璧じゃないけど、参考にはなる。 何もないより、ずっといい。
ただ、レーダーだけに頼らない。 自分の目で空を見て、自分の耳で雷の音を聞いて、自分の判断で動く。 これが、たぶん、いちばん安全で、いちばん豊かな、暮らし方。
技術が進化しても、自然は、人間より少しだけ早い。 それを認めた上で、上手に付き合っていきたい、と思います。
それでは、これから夏本番。 雷の音が聞こえたら、どうぞ、すぐに家の中に。 予報を信じすぎず、ご自分の目と耳を、信じてくださいね。 そして、ベランダの洗濯物、早めに取り込みましょう(これは、わたし自身への戒めも込めて)。
