「ぬか漬けって、なんだか敷居が高そう」 「毎日かき混ぜないとダメなんでしょ?」 「すぐカビが生えそうで怖い」
わかります、その気持ち。私も最初はそうでした。 実家の母がぬか床を持っていて、子どものころから「ぬか床は生きてるんだから、ちゃんと面倒みなきゃダメよ」って言われて育ったので、なんとなく「自分には無理」って思い込んでたんです。
でも、結婚して何年か経って、スーパーのぬか漬けが妙に高いことに気づいて(きゅうり1本分で200円超えてたりしますよね……)、「えいやっ」と始めてみたら、これがまあ、なんとかなった。
今日は、料理上手でもないし、まめでもない、ごく普通の主婦の私が「これならできた」というやり方を、お話ししますね。
「毎日かき混ぜなきゃ」の呪いを解こう
まず、ここがいちばん大事。
ぬか漬けを始めようとして挫折する人の8割は、たぶんここでつまずいてます。「毎日きちんと混ぜなきゃ」というプレッシャー。
正直に言いますね。 2〜3日サボっても、ぬか床は死にません。
私は出張で4日家を空けたこともあるし、年末年始の帰省で1週間放置したこともあります。冷蔵庫に入れておけば、ぜんぜん平気でした。表面が少し白っぽくなってたりしますが、これは産膜酵母といって、悪いものじゃないんです。混ぜ込めばOK。
「毎日かき混ぜなきゃ」というのは、常温で置いていた時代の話。今は冷蔵庫があります。冷蔵庫保存にすれば、3日に1回くらいの混ぜ方でじゅうぶんなんです。
これがわかっただけで、ぐっとハードルが下がりませんか?
最初のぬか床は、迷わず「市販の熟成済み」を買おう
「ぬか床を一から作る」と聞くと、
- 生ぬかを買って
- 塩を計って
- 水を入れて
- 捨て漬けを何度もして……
なんていう工程が出てきて、それだけで挫折しそうになります。
私からの提案は、最初の1回は、市販の「すでにできてるぬか床」を買っちゃってくださいということ。
スーパーの漬物売り場や、ネットでも売っています。袋に入っていて、そのまま野菜を入れるだけで漬けられるタイプ。チャック付きの袋なら、それを容器がわりにしてもOK。
これの何がいいって、一発目から美味しいぬか漬けが食べられることなんです。
自分で一から育てると、最初の1〜2週間は「うーん、これがぬか漬け?」みたいな微妙な味になりがちで、そこで心が折れる人が多い。でも市販品ならいきなり美味しい。美味しいと続けたくなる。続けるうちに、自分の家の味になっていく。
「邪道だ」って言う人もいるかもしれないけど、続かない正道より、続く邪道のほうが、私はずっといいと思っています。
容器は、タッパーで十分
ぬか床用の専用容器、おしゃれなホーロー容器、いろいろありますよね。憧れます。 でも、最初は冷蔵庫に入る大きめのタッパーでじゅうぶん。
ポイントは、
- 冷蔵庫の中で寝かせて置けるサイズ
- パッキン付きで、においが漏れにくいもの
- 中身が見える透明か半透明だと、なお良し
私はずっと、100均で買った密閉タッパーを使っています。長年使っているうちに、ちょっとぬか臭くなってきますが、それも愛着のうち。
おしゃれな容器に憧れるのはよくわかります。でも、それは続いてから買えばいい話。挫折したらタダのおしゃれゴミになっちゃいますからね。
「何を漬けるか」より「どう切るか」のほうが大事
ぬか漬けデビューにおすすめなのは、きゅうり、なす、にんじん、大根あたり。 かぶも美味しいです。
ただね、ここで多くの人が見落とすポイント。 切り方で、漬かる時間がぜんぜん変わるんです。
たとえばきゅうり1本、まるごと入れたら半日〜1日かかります。でも縦半分に切れば、5〜6時間でいい感じ。にんじんなんて、太いまま入れたら2日たっても中まで漬からなくて、表面だけしょっぱいことに。
最初のうちは、「やや薄め、やや小さめ」に切ること。 これだけで「漬かりすぎてしょっぱい」「漬かってなくて生っぽい」という失敗が、ぐんと減ります。
野菜は洗って、水気をしっかり拭いてから漬ける。これも大事。濡れたまま入れると、ぬか床がだんだん水っぽくなってきます。
いちばん大事なのは「冷蔵庫で漬ける」こと
私が「続けられる」と思った最大の理由がこれです。
常温で漬けると、夏なんて半日で漬かりすぎちゃって、ちょっと忘れただけで「うわ、しょっぱい!」になる。逆に冬は寒くて全然漬からない。気温に振り回されるんですよね。
冷蔵庫の中なら、気温は一年中ほぼ同じ。 夏も冬も、同じ感覚で漬けられます。
漬かる時間の目安は、
- きゅうり(縦半分):5〜8時間
- なす(縦半分、塩もみしてから):半日〜1日
- にんじん(縦4等分):1〜2日
- 大根(1cm厚さ):半日〜1日
- かぶ(4つ割り):半日〜1日
朝、出勤前に入れて夜食べる。夜入れて朝食べる。このリズムが作れると、すごくラク。
「あ、明日のお弁当の彩りに何か欲しい」って思ったとき、冷蔵庫を開けたらぬか漬けがある。これ、地味に主婦の救いです。
失敗あるある、その対処法
「なんだか酸っぱい!」
これ、ぬか床のなかの乳酸菌が元気になりすぎてるサイン。 対処法はかんたんで、新しいぬか(炒りぬかでもOK)と塩を少し足して、よく混ぜる。それで落ち着きます。あと、冷蔵庫に入れる時間を増やして、ちょっと休ませてあげる。
「水っぽくなってきた」
野菜から水が出るので、続けるうちにどうしても水っぽくなります。 対処法は、キッチンペーパーで吸い取るか、ぬかを足す。私はだいたい吸い取る派。簡単だから。
「白い膜みたいなのが張ってる」
産膜酵母です。香りがいいやつ。 混ぜ込んじゃってOK。気になるなら表面だけ薄く取り除いて、よく混ぜる。
「青っぽいカビが出た」
これは、産膜酵母とちがって、ちょっと注意したいやつ。 カビの部分を周りごとごっそり取り除いて、ぬかと塩を足して、よく混ぜる。それで様子を見て、変なにおいがしなければ続けられます。広範囲にひどく出ているときは、思い切って新しく買い直したほうが気持ちもラクです。
ぬか漬けがあると、食卓がラクになる
これ、始めてみて初めて気づいたんですが、ぬか漬けが冷蔵庫にあると、献立の心理的負担がちょっと軽くなるんですよね。
「今日のおかず、ちょっと寂しいな」というとき、ぬか漬けを切って小皿に盛るだけで、食卓がしまる。 お弁当のすき間にも入れられる。 小腹がすいた夫が「なんかない?」と言ってきたとき、「ぬか漬けで日本酒飲んだら?」で会話が成立する。
しかも、買ってきた漬物より、ぜんぜん安い。きゅうり1本、にんじん半分、なす1個、ぜんぶで100円ちょっとで、何日分かの「もう一品」ができるんです。
続けるためのちょっとしたコツ
最後に、続けるための私なりのコツを。
完璧を目指さない 雑誌に出てくるような、つやつやのぬか床じゃなくていい。自分の家で食べる漬物が美味しければ、それでじゅうぶん。
「サボった日」を責めない 3日忘れた、1週間放置した、それでもぬか床はだいたい生きてます。「あ、ごめん、忘れてた」って混ぜてあげればOK。
家族の好みに合わせていい 甘めが好きな家族なら、漬かる時間を短くする。しっかり漬けたい派ならじっくり。我が家のぬか漬けは、我が家の味でいいんです。
「やめてもいい」と思っておく これ意外と大事です。「絶対続けなきゃ」って思うとしんどくなる。「合わなかったらやめればいい」くらいの気持ちで始めるほうが、不思議と続きます。
さいごに
ぬか漬けって、なんだか「ちゃんとした主婦のたしなみ」みたいなイメージがあって、構えてしまう方も多いと思います。私もそうでした。
でも、やってみたら、思っていたよりずっとゆるくて、優しくて、たのしいものでした。
毎朝、ぬか床に「おはよう」って言いながら(誰にも見られてないから言える)、野菜を取り出す時間。 小皿に盛って、家族が「うん、うまい」って言ってくれる瞬間。 こういう、ちいさな満足が積み重なっていくのが、ぬか漬けのいちばんの魅力かもしれません。
「続けられるかな」って不安なあなた、大丈夫です。私みたいなズボラ主婦でも続いてます。 タッパーひとつから、はじめてみませんか?
それでは、今日もよい一日になりますように。
