今年の夏、ふと、夫に言ってみたんです。
「ねえ、今年、花火大会、行ってみない?」
夫が一瞬「えっ?」という顔をして、それから「いいね」と。 正直、私も自分で言っておきながら、ちょっと驚いていました。
だって、わが家、もう20年近く、花火大会らしい花火大会に行ってないんですよ。 子どもが小さい頃は、人混みが怖くて諦めて。 中学校に上がってからは、長男が「友達と行く」と言って親と行きたがらない。 気がついたら、夏の終わりに「今年も行かなかったね」と、ベランダから遠くの花火を見るだけ。
でも、今年は、なんだか急に「行きたい」って思ったんです。 たぶん、長男が中2になって、もうあと何年か経ったら、もっと家族のイベントに来てくれなくなるって、肌で感じたから。
行ってみたら、もう、いろんなことがあって。 笑ったり、ちょっと泣きそうになったり、夫と顔を見合わせたり。 今日は、その話を、夏の終わりの記録として残しておこうと思います。
まず、家族に声をかけたら、意外な反応
「今年、花火大会、行こうと思うんだけど」
夕飯のときに、家族に切り出してみました。
長女(小4):「えーっ、行きたい行きたい!浴衣着ていい?」(即答)
夫:「あー、いいね。何年ぶりだろう」(穏やかに賛成)
長男(中2):「……あー、まあ、いいけど。友達も誘っていい?」
長男が、家族の予定に「いい」と言ってくれたこと、ちょっと感動しました。 最近、家族で出かけようと言うと、たいてい「俺はいいや」って言う子なので。
長男が「友達も」と言ったのは、たぶん家族だけだと気恥ずかしかったから。 それでも、来てくれる気がある、という事実が、母親としてはじーんとくる瞬間でした。
浴衣問題で、まず1回目の冷や汗
「行く」と決まった瞬間から、わが家のクローゼットが大変なことになりました。
長女が、いきなり「浴衣!浴衣!」と。 私の浴衣を引っ張り出してきて、「これ着たい!」と言うんですが、サイズが合うわけない。
調べてみたら、最近は子ども用の浴衣セットって、ネットで3,000円くらいで揃うんですね。 帯、下駄、巾着、髪飾りまでセットになってる。 昔は、こんなに気軽に買えるものじゃなかった気がするんですが、便利な時代になりました。
長女のは無事に解決。 問題は私のほう。
20年前の浴衣を引っ張り出して、着てみたら…… お腹のあたりが、ちょっと、ね。
「あら、これ、こんなにきつかったっけ」と、鏡の前でひとりごちる私。 若い頃はスルッと着られたのに、と少しへこみました。
結局、帯の位置を少し下げて、なんとか着付けることに。 ただ、これだと歩いてると着崩れするんですよね。 当日、何度トイレで直したかわからない(これ、後述します)。
場所取り、夫が朝から戦線離脱した話
花火大会の場所取り。 これ、わが家、見事に作戦を間違えました。
午後1時くらいに「そろそろ場所取りに行こうか」と話していたんですが、夫が「いやいや、もっと早く行かないと」と。 結局、夫が朝8時にレジャーシートを持って出発。
数時間後、夫から連絡が。 「もう、めちゃくちゃ人がいる。確保できそうな場所、川沿いのちょっと遠いとこになる」
え、朝8時で?と、ちょっとびっくり。 最近は、有料席のチケット販売もあって、無料エリアの場所取り争奪戦がますます激しいらしいです。
夫は結局、川沿いから少し外れた、橋の近くの空きスペースを確保してくれました。 正面ではないけど、花火はちゃんと見える場所。
午後、私と子どもたちで合流したとき、夫が日陰でぐったりしていて、ちょっと申し訳なくなりました。 お父さん、お疲れさま。
持って行ってよかったもの、忘れて後悔したもの
20年ぶりの花火大会で、私が「持って行ってよかった」「忘れた」をリストアップしておきます。
持って行ってよかったもの
大きめのレジャーシート 家族4人+長男の友達1人、計5人で座るので、2畳サイズくらいの大判があると安心。100均で大判のレジャーシート、買えるんですね。
保冷バッグに、凍らせた飲み物 ペットボトルを半分凍らせて、保冷バッグに入れて持参。会場で買うと1本300円とかするので、これだけで4人分節約。
ウェットティッシュとティッシュ これは絶対。屋台で食べ物を買って、手がベタつくのを拭くのに本当に重宝。
虫除けスプレー 川沿いはとくに虫が多い。子どもの足首が刺されないように、出発前にしっかり。
小さな懐中電灯(スマホでも可) 花火が終わったあとの暗い中、足元を照らすのに便利。
ゴミ袋(複数枚) ゴミ箱がすぐ満杯になるので、自分のゴミは自分で持ち帰る用に。これ、家族で行くと意外な量になります。
忘れて後悔したもの
羽織もの 8月の夜なんだから暑いに決まってる、と油断してたら、川沿いは思ったより風が涼しくて、長女が「寒い」と言い出した。タオルケットでも持っていけばよかった。
絆創膏 新しい下駄を履いていった長女が、すぐに鼻緒で足が痛くなった。コンビニで買い直したけど、最初から持っていけばよかった。
現金(小銭多め) 最近の屋台、PayPayが使えるところも増えてきたんですが、まだ現金オンリーのところが多い。1000円札ばかりだと、お釣りの場面で時間がかかります。
モバイルバッテリー スマホでみんな写真撮るし、家族と連絡取り合うしで、バッテリーの減りが早い。途中で電池切れになって、長男との合流が一瞬パニックになりました。
トイレ問題、これ、ナメてました
花火大会のトイレ、本当に大変なんですね。 20年前はもうちょっと余裕があった気がするんですが、いまは仮設トイレに1時間待ちの行列ができていました。
夕方、長女が「ママ、トイレ」と言い出して、もう本当にヒヤヒヤ。 浴衣を着てる女性のトイレって、想像以上に時間がかかるんですよ。 帯を緩めて、裾を持ち上げて、また直して……。
これ、対策としては、
- 会場に入る前に、近くのコンビニや駅で済ませる
- 会場内のトイレは、混む前に早めに済ませる
- 女性同士で交代制で行く(荷物の見張りもあるので)
このあたりが鉄則だと、痛感しました。 あと、浴衣の方は、本当に洋式トイレに長蛇の列ができるので、和式でも入れるよう、心の準備が必要です。
花火が始まった瞬間、長女が固まった
午後7時半、いよいよ花火がスタート。
最初の「ドーン」という大きな音で、長女がビクッとしてしがみついてきたんです。 「えっ、ママ、これ怖い……」と。
そういえば、長女、生まれて初めての花火大会だったんですよね。 テレビで見るのと、実際の音の振動を体で感じるのは、全然違う。
最初の5分くらい、長女は私の腕にしがみついて、目をぎゅっとつぶってました。 でも、だんだん慣れてきたみたいで、ちらっちらっと顔を上げて、
「……ママ、きれい」
って、つぶやいてくれた瞬間。
これ、たぶん私、一生覚えてると思います。 20年ぶりに花火大会に来てよかった、と心の底から思った瞬間でした。
(ちなみに、もし赤ちゃん連れで花火大会に行く方がいたら、本当に注意してください。あの音の振動、大人でもびっくりするくらいなので、月齢の小さい赤ちゃんには刺激が強すぎます。少し離れた場所から見るのがおすすめです。)
長男と友達、いつの間にか消えていた
中盤あたりで、ふと気づいたら、長男と友達の姿がない。 焦って探そうとしたら、夫が「あー、あいつら、屋台のほう行ったよ」と。
少し離れた屋台のエリアで、ふたりで何か買って、立ち食いしてる姿が見えました。 親と一緒に座って見るのは、もうちょっと「ダサい」のかもしれない。
寂しいような、嬉しいような。 中2の男の子って、こういう距離感なんですよね。 家族と一緒に「来た」事実があれば、それで十分。あとは自分の世界に行きたい。
母としては、「ちゃんと帰ってきてね」と心の中で念じながら、長女と夫と3人で花火を見上げました。
夫が、隣でぽつりと「あいつも、もう大人だな」って。 私、また泣きそうになりました。今年の夏、なんだか涙腺がゆるい。
クライマックスの瞬間、夫が手を握ってきた
花火のフィナーレ、空が一気に光で埋まる瞬間。
長女が「うわー!」と歓声を上げて、私もつられて空を見上げて。 そのとき、隣に座ってた夫が、自然な動きで私の手を握ってきたんです。
最後にこんなふうに手を握られたの、いつだろう。 たぶん、子どもが生まれる前。
夫、なんにも言わなかったし、私もなんにも言わなかった。 ただ、花火の光が消える瞬間まで、そうしてました。
20年連れ添っても、こういう瞬間が来るんだなと、ちょっと不思議な気持ち。 たぶん、夫も「20年前の夏」を思い出してたんじゃないかな。 あの頃、私たちはまだ新婚で、人混みの中で迷子になって、笑い合ってた。
帰り道の地獄、そして、それも思い出
花火が終わった瞬間、人の波が一斉に動き出します。
これ、本当に想像以上で、駅に向かう道が、人、人、人。 普段なら駅まで15分の距離が、1時間半かかりました。
途中で長女が眠くなって、「歩けない」と泣き出して。 結局、夫が背中におぶって、ゆっくりゆっくり歩いて。
長男はと言うと、友達と途中で別れて、ちゃんと合流してきました。 「電車、めっちゃ混むらしい」とぼやきながら、でも、なんだか少し楽しそうに。
電車に乗ったら乗ったで、ぎゅうぎゅう詰めで、しかも浴衣の私は帯が緩んできて、もう冷や汗。 夫が前に立って盾になってくれて、なんとか持ちこたえました。
家に着いたのは、夜11時すぎ。 玄関に倒れ込むようにして、家族全員で「疲れたー!」と笑いました。
ミケ(先住猫)とソラ(新入り猫)が、なんで深夜に帰ってきたの?という顔で出迎えてくれた。 浴衣を脱ぐ前に、ふたりにごめんねと撫でて。 お風呂に入って、ベッドに沈んだ瞬間、たぶん3秒で寝ました。
翌朝、写真を見返して
翌朝、スマホの写真フォルダを見返したら、もう、いろんな写真が。
- 長女の浴衣姿(本人もご満悦)
- 屋台のかき氷を食べる長男(めずらしい)
- 夫がレジャーシートで日陰になってる午後の姿(疲れ顔)
- ピンボケしまくった花火の写真(何十枚も!)
- 帰り道、夫におぶわれて眠る長女
- 家族全員で撮った、たった1枚の集合写真
集合写真、長男が「うわ、こっち見んなよ」って顔をしてる以外は、みんなちゃんと笑ってる。 これ、来年もう撮れないかもしれないなと思ったら、急に大事な1枚に見えてきました。
夫に「今度、写真、プリントしようか」と言ったら、「そうだね」と。 リビングに飾るほどじゃないけど、アルバムには残しておきたい1枚。
ナス栽培でも書きましたが、家族で何かするって
少し前に、家庭菜園のナスのことを書いたんですが、あのとき「家族で何かを共有することが宝物」というニュアンスのことを書いたんです。
今回の花火大会も、まさにそれでした。
豪華な海外旅行じゃない。 お金もそんなにかかってない(交通費+屋台で家族5人、たぶん5,000円くらい)。 でも、心の中に残ったものは、たぶん、何倍も大きい。
子どもたちが大きくなって、それぞれの夏の予定で忙しくなる前に、こういう時間を意識して作ること。 これって、母親が「あとから後悔しないために」自分にあげるプレゼントなんじゃないかなと、最近思います。
これから花火大会を計画している方へ
最後に、今年これから花火大会に行こうかな、と迷っている方へ。
子どもが小さくても、思い切って行ってみてください 大変です。トイレ問題、人混み、ぐずり、ぜんぶある。 でも、子どもの「うわー!」って表情は、それを全部上回る価値があります。
反抗期の子どもがいても、声をかけてみてください 断られるかもしれない。でも、「友達と来ていい?」と返ってきたら、それは「来る」ってことです。
夫婦で行くと、何かが少し戻ってくるかも 20年前の自分たちを、ちょっとだけ思い出せるかもしれません。
そして、自分の浴衣のサイズは、早めに確認しておいてください(これ、本当に大事です)
さいごに
長くなりました。
夏が終わると、毎年「あっという間だったな」と思います。 でも、今年は、ちょっと違う。 花火大会の夜の音、長女のしがみつき、夫の手の温度、長男のぼやき声、ぜんぶ覚えてる。
来年も、行けるかな。 長男がついてきてくれるかどうかは、わからない。 でも、また家族に声をかけてみようと思います。
それでは、皆さんも、どうぞ素敵な夏の思い出を。 無理せず、暑さに気をつけて、家族との時間を大切に過ごしてくださいね。
