ある日、長女(小4)が、突然、聞いてきました。
「ねえお母さん、抹茶って、緑茶?」
夕食の後、抹茶味のアイスクリームを食べながらの質問。
わたし、味噌汁の片付けをしていた手を止めて、考えました。
「え、抹茶……緑茶……だよね?」
そう答えながら、自分でも、ちょっとモヤッとしました。 抹茶と緑茶って、同じなのか、違うのか、わたし、ちゃんと答えられない。
スーパーに行くと、お茶の棚に、いろんな種類のお茶が並んでいます。
- 緑茶
- 煎茶
- 抹茶
- ほうじ茶
- 玄米茶
- 玉露
これ、ぜんぶ、何が違うんだろう? 緑茶と煎茶の違いも、わからないまま、なんとなく買っている。 抹茶味のお菓子は買うけど、そもそも抹茶って何、と聞かれたら、ちゃんと答えられない。
「お母さん、答えわかってないでしょ」と、長女。 鋭い。
「じゃあ、ちゃんと調べる」と、わたしは答えました。
今日は、その「緑茶と抹茶の違いを、ちゃんと調べてみた話」を、書かせてください。 わたしと同じく、なんとなくお茶を飲んでいる方の、ちょっとした参考になれば嬉しいです。
まず、いちばん大事な大前提
調べてみて、いちばん意外だったのが、これ。
抹茶も、緑茶の一種
え? わたし、なんとなく、「緑茶」と「抹茶」は別物だと思っていました。 でも、調べたら、
- 緑茶:茶葉を発酵させずに作るお茶の総称
- 緑茶の中に、煎茶、玉露、番茶、ほうじ茶、玄米茶、抹茶など、いろいろある
- だから、抹茶も緑茶
ということでした。
そして、わたしたちが普段「緑茶」と呼んで飲んでいるものは、たぶん**「煎茶(せんちゃ)」**のこと。 スーパーで「緑茶」と書かれて売られているお茶も、ほとんどが煎茶。
つまり、
**「抹茶 vs 緑茶」**ではなくて、 「抹茶 vs 煎茶」(両方とも、大きな緑茶の中の仲間)
というのが、正確な話だったんです。
これ、知らなかった。 わたし、何十年も「緑茶」と呼んできたお茶が、本当は「煎茶」だった、ということに、けっこう衝撃でした。
緑茶の仲間たち、一覧
ついでに、緑茶ファミリーを整理しておきます。
- 煎茶(せんちゃ):日本でいちばん飲まれている、いわゆる「緑茶」
- 玉露(ぎょくろ):高級な煎茶。栽培方法が違う(後で出てくる)
- 抹茶(まっちゃ):茶葉を粉にしたもの
- 番茶(ばんちゃ):夏や秋に摘んだ、ちょっと硬めの茶葉から作る
- ほうじ茶:茶葉を焙煎して、香ばしい香りにしたもの
- 玄米茶:緑茶に炒った玄米を混ぜたもの
- 粉茶(こなちゃ):煎茶を作るときに出る、細かい粉
- 茎茶(くきちゃ):茶の茎の部分を集めたお茶
これ、ぜんぶ「緑茶」の仲間。 ぜんぶ、同じ**「チャノキ」**という植物の葉から作られています。 製造方法と、葉の使い方で、こんなに種類が分かれている。
「緑茶」と一言で言っても、実は、こんなに広い世界だったんですね。
煎茶と抹茶の、栽培方法の違い
ここからが、わたしが「え、そんなに違うの」と驚いた話。
煎茶と抹茶、原料は同じ「チャノキ」なんですが、育て方が全然違うんです。
煎茶の育て方
煎茶は、日光をたっぷり浴びさせて育てる。 これを「露地栽培(ろじさいばい)」と言うそうです。 広い茶畑で、お日様の下、すくすくと育つ。
太陽をたくさん浴びると、
- **カテキン(渋み成分)**がたくさん作られる
- 結果として、渋みがあって、すっきりした味になる
これが、わたしたちがよく飲む煎茶の味の正体。
抹茶の育て方
抹茶のほうは、
摘み取る前の約20日間、茶畑に「日よけ」をかけて、日光を遮る
これを「覆下栽培(おおいしたさいばい)」と言うそうです。 すだれや藁、最近は遮光ネットなどで、茶畑を覆ってしまう。
「日光を遮る」??
なぜ、と思って、もうちょっと調べてみました。
- 日光を遮ると、カテキン(渋み)が作られにくくなる
- そのかわり、テアニン(うま味成分)が増える
つまり、わざと太陽を当てないようにすることで、渋みを減らして、うま味を増やしている。 これが、抹茶の濃厚な甘いうま味の秘密。
「わざわざ日光を遮る」という発想、面白いですよね。 昔の人は、これを経験的に発見したんでしょうね。 天才だな、と、ちょっと感動しました。
製造方法も、全然違う
栽培方法だけじゃなくて、収穫後の作り方も違うんです。
煎茶の作り方
- 茶葉を摘む
- 蒸す(発酵を止める)
- 揉む(茶葉に圧力をかけて、形を整える)
- 乾燥させる
これで、わたしたちが急須に入れる、あの細長い茶葉ができあがる。
抹茶の作り方
- 覆下栽培した茶葉を摘む
- 蒸す(ここまでは煎茶と同じ)
- 揉まずに、そのまま乾燥
- これで「碾茶(てんちゃ)」という、抹茶の前段階ができる
- 石臼でゆっくり挽いて、粉末にする
- これで、抹茶ができあがる
「揉まない」「石臼で挽く」、ここが大きな違い。
そして、石臼で挽くというのが、けっこう大変な作業らしいです。 1時間かけて、ほんの30〜40グラムくらいしか作れない、と書いてある記事もありました。 だから、抹茶って、ちょっと高い。 納得です。
飲み方の違い
ここも、改めて考えると、面白い違いです。
煎茶の飲み方
急須に茶葉を入れて、お湯を注いで、しばらく置いて、湯呑みに注ぐ。 茶葉そのものは捨てて、お湯に溶け出した成分だけを飲む。
これが、わたしたちが普段やっている、緑茶(=煎茶)の飲み方。
抹茶の飲み方
茶碗に抹茶の粉末を入れて、お湯を注いで、**茶筅(ちゃせん)**で泡立てるように混ぜる。 そして、粉末ごと、ぜんぶ飲む。
これが、抹茶の飲み方。
ここがいちばん大きな違いですよね。
煎茶は「お茶のエキスを飲む」 抹茶は「茶葉そのものを丸ごと飲む」
だから、抹茶のほうが、茶葉の栄養成分を、まるごと摂取できるということになる。
栄養の違い
ここからは、ちょっと注意して書きますね。 「効く」とか「治る」とか、断定はできないので、あくまで「こんな成分が含まれている」というだけの話として。
煎茶に含まれる主な成分
- カテキン(渋み成分、ポリフェノールの一種)
- カフェイン(覚醒作用)
- ビタミンC
- アミノ酸類
抹茶に含まれる主な成分
煎茶に含まれるものに加えて、
- テアニン(うま味成分、リラックス系のアミノ酸)
- 食物繊維(茶葉ごと飲むため)
- ビタミンK(血液凝固に関係)
- ルテイン(目に関係するとされる成分)
つまり、抹茶は茶葉そのものを摂取するから、煎茶よりも、多くの栄養成分を取り込める、ということ。
「じゃあ、抹茶のほうが体にいい?」
そう思いがちですが、たぶん、これは、そんなに単純じゃない。 煎茶には煎茶の良さ、抹茶には抹茶の良さがある。 そして、どれが「効く」かどうかは、人それぞれで、断定できない。
わたしのスタンスは、
「両方とも、適量を、楽しく飲めばいい」
これくらい、ゆるく。
カフェインの違い、ここは大事
ただし、ひとつ、知っておくべき話があります。
抹茶は、煎茶よりも、カフェインの含有量が多い
具体的な数字としては、
- 煎茶 100mL:カフェイン約20mg
- 抹茶 2g(1杯分):カフェイン約60〜80mg
つまり、抹茶は、煎茶の3倍くらい、カフェインが多い。 茶葉そのものを摂取するから、カフェインも、まるごと摂ってしまう。
これ、わたしが調べていて、いちばん「へえ〜」と思った話でした。 わたし、抹茶って、なんとなく上品な飲み物だから、刺激は少ないと思っていたんですよ。 実は、コーヒー並みのカフェインが入っている、と聞いて、ちょっと見方が変わりました。
特に、
- 妊娠中、授乳中の方
- 小さなお子さん
- カフェインに敏感な方
これらの方は、抹茶を頻繁に大量に摂るのは、要注意。 かと言って、まったくダメ、ということではなくて、適量を意識する、ということ。
わが家の長女(小4)が「抹茶アイス、もっと食べたい」と言ったときも、
「抹茶は、ちょっとカフェイン多いから、1日に何個もはダメよ」
と、説明するようになりました。 これ、知らずに食べさせ続けていたら、夜寝つきが悪くなったりするかも、と。
味の違い
煎茶と抹茶の、味の特徴を、ちょっと整理。
煎茶の味
- 爽やかな渋み
- すっきりした清涼感
- 後味が軽い
これが、煎茶。 食事と一緒に飲むのにちょうどいい、日常使いのお茶。
抹茶の味
- 濃厚なうま味
- まろやかで甘みのある後味
- 「覆い香(おおいか)」と呼ばれる、海苔のような独特の香り
これが、抹茶。 お菓子と一緒に、ちょっと特別な時間に飲む、深い味わい。
「覆い香」、これも初めて知った言葉。 日光を遮って育てた茶葉だけに出る、特別な香り。 言われてみると、抹茶の独特の香り、海苔のような、深い香り、というのは、なんとなくわかる気がします。
保存方法の違い
これも、知らなかった!
煎茶の保存
- 常温で大丈夫
- 高温多湿を避ける
- 賞味期限は、未開封で1年くらい
抹茶の保存
- 冷蔵庫に入れたほうがいい
- 酸化しやすい
- 開封後は、なるべく早く使い切る
「抹茶は、冷蔵庫」って、知らない人、けっこう多いんじゃないでしょうか。 わたしも、買った抹茶を、ふつうに食器棚に置いていました。 酸化して、色も風味も悪くなるらしいので、これからは冷蔵庫に。 すごく細かい知識ですが、これも、調べてみてよかったこと。
歴史の違い、ちょっとだけ
調べていて、面白かった話。
緑茶は、**奈良時代(8世紀くらい)**に、中国から日本に伝来したそうです。 当時は、お茶は「薬」として扱われていた。 体調を整えるために飲む、特別な飲み物。
抹茶は、もっと後の時代、鎌倉時代以降に、禅僧によって広められた。 そして、戦国時代の千利休によって、「茶の湯」として、今の形に大成された。 お茶を、芸術にまで高めた文化。
つまり、
- 緑茶(煎茶):長い長い、庶民の暮らしのお茶
- 抹茶:武家文化、芸術文化と結びついた、特別なお茶
千利休が考えた茶の湯の世界が、今も日本の文化として残っている。 そう思うと、抹茶って、ただの飲み物じゃなくて、何百年もの歴史を飲んでいるみたいで、なんだか、すごい。
わが家での飲み分け
ここまで調べて、わが家の生活で、どう使い分けるか、整理してみました。
煎茶(=緑茶):毎日の飲み物として
- 食事と一緒に
- 食後の一杯
- お客さんが来たときの、基本のおもてなし
- 子どもにも、薄めにすれば大丈夫
抹茶:特別なときに
- お菓子作りのときの素材
- ちょっとリッチな気分のティータイム
- 抹茶ラテとして
- 子どもには、量を気をつけて
これくらいの使い分けで、十分。 わたしが、毎朝、お茶を点てるような生活は、ちょっとハードルが高い(笑) でも、たまに、ちゃんと抹茶を点てて飲んでみる時間、というのも、悪くないかな、と思い始めました。
子どもたちの反応
夕食の後、調べた内容を、子どもたちにも話してみました。
わたし:「ねえねえ、抹茶って、緑茶の一種なんだって」 長女:「えっ、同じなの?」 長男(中2):「違うじゃん、色も違うし」 わたし:「同じだけど、育て方と作り方が違う」 夫:「ふーん、知らなかった」
中2の長男が、けっこう食いついてきました。 「じゃあ、抹茶のほうが栄養あるってこと?」 「そうだね。でも、カフェインも多いから、子どもは飲みすぎ注意」 「マジか、抹茶アイスはどうなんだろう」 「たぶん、アイスは抹茶パウダーが少しだけ入ってるから、そんなに問題ない」
家族で、お茶の話題で、けっこう盛り上がりました。 これも、ふだん考えないことを調べてみる、楽しさですね。
長女は、
「じゃあ、お母さんに、抹茶を点ててもらう日が、来るかもね」
と、楽しそうに。 そうね、いつか、ちゃんと茶筅も買って、抹茶を点てる時間を、家族で持ってみたい。 そう思いました。
まとめ:緑茶と抹茶の違い、整理
最後に、調べた内容を、ぎゅっとまとめておきますね。
①「緑茶」は不発酵茶の総称、「抹茶」もその仲間のひとつ
②わたしたちが「緑茶」と呼んでるのは、たぶん「煎茶」のこと
③栽培方法の違い
- 煎茶:日光を浴びせる露地栽培
- 抹茶:日光を遮る覆下栽培
④製造方法の違い
- 煎茶:蒸す→揉む→乾燥
- 抹茶:蒸す→揉まずに乾燥→石臼で挽く
⑤飲み方の違い
- 煎茶:お湯で抽出して、エキスだけ飲む
- 抹茶:粉末をお湯に溶かして、まるごと飲む
⑥栄養の違い
- 抹茶のほうが、茶葉ごと飲むぶん、栄養成分が豊富
- でも、どれが「効く」かは、人それぞれ
⑦カフェインの違い
- 抹茶は、煎茶の3倍くらいカフェインが多い
- 子ども、妊娠中、敏感な方は、適量に注意
⑧味の違い
- 煎茶:爽やかな渋み
- 抹茶:濃厚なうま味+「覆い香」
⑨保存方法の違い
- 煎茶:常温
- 抹茶:冷蔵庫
⑩歴史の違い
- 緑茶:奈良時代から、庶民の薬として
- 抹茶:鎌倉時代以降、茶の湯の文化として
さいごに
長女の「抹茶って、緑茶?」というひとことから、始まった、わたしの調べもの。
何十年もお茶を飲んできて、ぜんぜん知らなかったことが、こんなにあるとは。 毎日の暮らしの中にある、当たり前のものって、案外、ちゃんと知らないんですよね。 それを、ちょっと立ち止まって調べてみると、世界が、ぐっと豊かになる。
これは、お茶の話だけじゃなくて、たぶん、いろんなことに言えること。 味噌、醤油、お米、お塩。 わたしたちが毎日使っているものの背景には、たぶん、まだまだ知らない世界が広がっている。
それでは、お茶を飲むとき、ちょっとだけ、そのお茶のことを、考えてみてください。 これは煎茶?抹茶?番茶?ほうじ茶? 育て方は?作り方は? そんな小さな興味だけで、いつものお茶が、ちょっとだけ違う味に感じられるかもしれませんよ。
それでは、今日も、お気に入りのお茶で、ぼちぼちと、午後の時間を過ごしてくださいね。
