先日、中国のUBテック社が発表した、人間そっくりのアンドロイド「U1」の話を、書きました。
あの記事で、わたし、ちょっと素朴に、書いたんです。
「日本の職人だったら、もうちょっと、頭とか、うまく作れそう」
日本には、フィギュア原型師、能面師、文楽人形の首(かしら)師、300年の造形の伝統がある。 だから、日本の技術者が作ったら、もう一段、リアルなアンドロイドが、できるんじゃないか、と。
で、その後、気になって、調べてみたんですよ。
「そういえば、日本のアンドロイド研究の第一人者って、誰なんだろう?」
そしたら、すぐに、名前が、出てきました。
大阪大学の、石黒浩(いしぐろ ひろし)教授
この方、めっちゃ、すごい方だった。 そして、YouTubeで、講演の動画を見たら、これがまた、面白かった。 話し出したら、止まらないんです、この先生(笑)
でも、その、ついしゃべりすぎちゃうところに、なんだか、親しみやすさと、研究への情熱が、にじみ出ている。
今日は、その「日本のアンドロイド研究の第一人者、石黒浩教授の話」を、主婦目線で、書かせてください。 中国のU1記事の、続編、みたいな感じで。
石黒浩教授、どんな人?
まず、基本情報から。
- 1963年、滋賀県生まれ
- 現在、62歳(わが家の夫より、10歳くらい年上、というイメージ)
- 大阪大学大学院、基礎工学研究科教授(栄誉教授)
- ATR(国際電気通信基礎技術研究所)、石黒浩特別研究所所長
- AVITA株式会社、代表取締役CEO(2021年設立)
- 2025年、大阪・関西万博、テーマ事業プロデューサー
- 2015年、文部科学大臣表彰
肩書きだけで、ちょっと、圧倒されます。 大学の教授、研究所の所長、会社のCEO、万博のプロデューサー。 これ、1人で、全部、やっている。
そして、この方の、代表作が、
ジェミノイド
というアンドロイドなんです。
ジェミノイドって、何?
「ジェミノイド」という名前、初めて聞きました。 調べたら、
「Geminoid」は、「ジェミニ(双子)」+「oid(〜のような)」
つまり、**「双子のような」**という意味。
なぜ、双子か? それは、石黒教授が、
自分自身に、そっくりのアンドロイドを、作った
からなんです。
石黒教授の顔、体型、声、すべてを、そのまま、アンドロイドに再現。 まるで、自分の双子が、もう1人、いるかのように。 それが、「ジェミノイドHI-1」。 これが、2006年に、世界を、驚かせました。
「自分そっくりのアンドロイド」を、作る理由
わたし、この話を聞いて、素朴に、思いました。
「なぜ、わざわざ、自分に似せるの?」
普通の感覚だと、著名人とか、美しい人とか、そういう人を、モデルにしそうな気がする。
でも、石黒教授の、答えが、面白かった。
「自分がモデルなら、生身の自分と比較して、アンドロイドの完成度を、確認する実験が、いつでも自由に、行えます」 「私のアンドロイドを現地に送って遠隔操作すれば、実際に長距離を移動しなくても、私がその場所に存在して、講演や実験ができます」
なるほど、と思いました。 研究者として、**「自分の分身」**を、作ることで、いろんな実験ができる。 そして、講演の時、大阪から東京まで、飛行機で移動しなくても、アンドロイドを、東京に置いておいて、大阪から遠隔操作すれば、講演できる。
これ、コロナ時代の、リモートワークの、はるか先を、行ってる。
ジェミノイド、実は、女性版もある
石黒教授の、自分そっくりのジェミノイドHI-1の後に、
「ジェミノイドF」
というのも、作られました。 これは、実在する、若い女性を、モデルにしたアンドロイド。 「世界で通用する姿」を、意識して、作られたそうです。
そして、この、ジェミノイドFが、また、すごくリアル。 YouTubeで動画を見ると、本当に、人間の女性が、そこにいるみたい。 瞬き、微妙な首の傾き、表情の変化、全部、自然。
前回書いた、中国のU1と、同じ路線。 でも、ジェミノイドFのほうが、もっと、**「さりげない、人間らしさ」**を、大事にしている感じがしました。
いちばん驚いた実験
石黒教授の、ジェミノイドの、いちばん驚く実験結果。
遠隔操作しているジェミノイドが、誰かに触られると、操作者本人が、「触られた」と感じる
なんですって。
これ、どういうことか、というと、
石黒教授が、大阪の研究室から、東京にあるジェミノイドを、遠隔操作している。 そこに、誰かが、ジェミノイドの、腕を、触る。 すると、大阪にいる、石黒教授本人が、「あっ、触られた」と、実際に、感じる。 声を上げることも、あるそうです。
「……え、それ、本当??」
わたし、これ、読んで、ちょっと、鳥肌が、立ちました。
つまり、人間の脳って、遠隔操作しているアンドロイドを、自分の体の一部として、認識する能力が、あるらしい。
これ、単なる、SF映画の話じゃなくて、実際に、実験で、確認されている現象。
それって、どんな意味があるの?
じゃあ、これが、社会にとって、どういう意味があるのか。
石黒教授は、こう、話しています。
「将来、脊髄損傷などの患者さんが、自分のジェミノイドを、脳波で操作した場合、そのジェミノイドを、自分の体のように、認識できるという可能性でもあります」
これ、聞いて、わたし、けっこう、感動しました。
体が動かない方が、自分そっくりのアンドロイドを、脳波で操作する。 そして、そのアンドロイドが、外を歩き、人と話し、旅行する。 本人は、家にいながら、自分の分身を通して、世界を体験できる。
これは、単なる、便利な機械の話じゃない。 人間の可能性を、広げる、技術なんです。
「テレノイド」という、また別の作品
石黒教授は、ジェミノイド以外にも、いろんなロボットを、作っています。
その中で、わたしが、いちばん、心を動かされたのが、
「テレノイド」
というロボット。
これ、ジェミノイドとは、真逆の設計。 ジェミノイドが、**「特定の人物にそっくり」を、目指したのに対して、 テレノイドは、「誰でもない、ミニマムなデザイン」**を、追求している。
- 白い体
- 顔の造形は、ざっくり(目、口、鼻がある程度)
- 手足は、短い、赤ちゃんのような形
- 抱きしめられるサイズ
なぜ、こんなデザインなのか?
「遠隔操作している人の、声と動きに合わせて、テレノイドが、動く」 「受け取る側は、テレノイドを、抱きしめながら、その中に、遠くの家族や、大切な人を、感じる」
つまり、「姿は、抽象的」にすることで、「受け手が、自由に、大切な人を、投影できる」。
そして、このテレノイドが、実際に、
認知症高齢者の、ケアに、使われている
そうです。
認知症の方が、テレノイドを、抱きしめる。 テレノイドを通して、遠くにいる、ご家族や、介護士さんが、話しかける。 すると、認知症の方が、テレノイドを、まるで、家族のように、感じて、心を、開いてくれる。
これ、読んで、わたし、思わず、泣きそうになりました。 技術が、こんなふうに、人の心を、支える。 これは、SFじゃなくて、今、現実に、行われている、優しい取り組み。
石黒教授の、YouTubeを、見てみた
「この方、実際に、どんな人なんだろう」
気になって、YouTubeで、石黒教授の講演動画を、いくつか、見てみました。
そしたら、これがまた、面白い。
話し出したら、止まらない、この先生(笑)
- アンドロイドの説明
- 人間とは何か、という哲学
- 技術の未来
- 万博のこと
- 大阪の話
- AVITAの事業
- 自分の子どもの頃の話
これらを、次から次へと、しゃべる。 時間が、押しても、続ける。 モデレーターが、「そろそろ、まとめを」と、促しても、なかなか、まとまらない。
でも、その、しゃべりすぎるところが、この先生の、魅力なんですよね。
「話したいことが、湧いてきて、止まらない」
これ、研究への情熱の、証拠。 そして、たぶん、この先生の、頭の中には、常に、たくさんの、アイデアが、飛び交っている。
わが家の夫と、真逆の性格(笑) 夫、必要最小限しか、話さないタイプ。 石黒教授と、対談したら、たぶん、面白い光景に、なりそう。
石黒教授の、哲学的な問い
そんな石黒教授が、常に、追い求めているのが、
「人間とは、何か」
という、大きな、問い。
石黒教授は、こう、語っています。
「私は、人間とは何かを追い求めることにこそ、人間としての存在価値があると思っています。そして、ロボットは、人間を映し出す鏡のようなもの」
「ロボットは、人間を、映し出す、鏡」
これ、ちょっと、詩的で、深い言葉ですよね。
ロボットを作ることが、目的、じゃない。 ロボットを作ることを通して、人間そのものを、理解する。 これが、石黒教授の、研究の根っこ。
そして、その結果として、生まれたロボットたちが、世界中の、いろんな人の、生活を、支えている。
これ、なんだか、素敵な、研究人生。
石黒教授の、書籍
石黒教授、いくつか、本も、書かれています。
- 『ロボットとは何か-人の心を映す鏡』(講談社現代新書)
- 『どうすれば「人」を創れるか-アンドロイドになった私』(新潮社)
書名だけで、興味深い。 「アンドロイドになった、私」というタイトル、すごい。 石黒教授自身が、自分のジェミノイドを、操作する中で、**「自分」と「アンドロイドの自分」**の境界が、揺らいでいく体験。 これ、読んでみたい、と思いました。
近所の図書館に、あるかな。 今度、探してみようと思います。
2025年、大阪・関西万博でも、活躍
石黒教授、2025年の大阪・関西万博で、テーマ事業プロデューサー、も、務めていました。
万博で、アンドロイドや、アバターを、活用した展示。 未来の、テクノロジーと社会のあり方を、来場者に、体感してもらう。
これ、たぶん、石黒教授にとって、研究の集大成、みたいなイベント。 研究室の中の実験を、社会に、広く見てもらう機会。 すごい、貢献。
わたし、万博、行けなかったんですが、テレビで、少しだけ、見ました。 未来を、感じさせる、いい展示だったな、と、記憶しています。
AVITA株式会社、というビジネス
石黒教授、大学の研究者だけじゃなくて、AVITA株式会社という会社の、CEOも、務めています。
これは、CGアバターを使った、ビジネス。
具体的には、
- 社会参加が難しい人が、アバターを通じて、働ける
- 接客業、コールセンター、教育、いろんな分野で、アバターを活用
- 姿を見せずに、声や動きだけで、コミュニケーション
これ、めっちゃ、意義のある事業。
- 育児中で、外で働けない、お母さん
- 障害があって、対面が、難しい方
- 人前で話すのが苦手な、内向的な方
そういう人たちが、アバターを通じて、社会と、繋がる。 これは、**「技術で、社会の壁を、取り除く」**という、素敵な、実装。
石黒教授の、研究が、現実の、社会問題を、解決している。 研究者として、これ以上ない、達成、なんじゃないでしょうか。
前回の、中国U1と、比べてみる
前回、書いた、中国のUBテック社のU1と、日本の石黒教授のジェミノイド、比較してみると、面白いです。
U1(中国)
- 量産、価格競争力が、強み
- 企業向け、消費者向けに、市場化
- 感情認識AIで、コミュニケーション
- 1ヶ月で、1万3000台の受注
ジェミノイド(日本、石黒教授)
- 1体1体を、丁寧に、作り込む
- 研究、実験、社会実装が、主目的
- 哲学的な問いを、追求
- 市場での大量生産、は、していない
アプローチが、全然、違う。
中国は、**「とりあえず、世に出して、市場を、取る」という、スピード重視。 日本(石黒教授)は、「深く、丁寧に、意味を、追求する」**という、深化重視。
どちらが、正しい、というわけじゃない。 両方、必要な、アプローチ。
でも、わたし個人としては、石黒教授の、深く、丁寧に、意味を追求する姿勢に、より、共感します。 **「技術は、何のために、あるのか」**という、根本的な問いを、忘れないから。
家族と、石黒教授の話
夕食の席で、家族に、石黒教授の話をしました。
わたし:「あのね、日本にも、すごいアンドロイド研究者がいてね」 長女(小4):「誰?」 わたし:「石黒浩教授、大阪大学の先生」 長男(中2):「聞いたことある。テレビで、見たことあるかも」 わたし:「その先生が、自分そっくりのアンドロイドを、作ってるの」 長女:「え、双子みたいなこと?」 わたし:「そう、ジェミノイド、って言うんだって」 長男:「なんか、自分に似せて、複数作ったら、便利じゃない?俺、宿題、アンドロイドに、やらせたい」 わたし:「そういう発想じゃないの」 夫:「あなた、その先生の話、けっこう、詳しいな」
わたし、しゃべりすぎている自分に、気づきました(笑)
石黒教授の、しゃべりすぎ体質が、うつったのかもしれない。 夕食の間、たぶん、10分以上、ずっと、石黒教授の話を、していました。
わたしが、感動したこと
この、石黒教授の話を、調べていて、いちばん、感動したこと。
「技術は、人と、人を、つなぐために、ある」
というメッセージ。
- 遠くの家族と、テレノイドで、つながる
- 体が不自由な人が、ジェミノイドで、世界を体験する
- 認知症の方が、テレノイドで、心を、開く
- 社会参加が難しい人が、アバターで、働く
すべてが、**「人と、社会を、つなぐ」**という方向に、向かっている。
前回の記事で、中国のU1について、 「亡くなった人に似せる、伴侶になる、というのは、複雑な気持ちになる」 と、書きました。
石黒教授の研究には、そういう、モヤモヤが、ない。 **「社会の課題を、解決する」**という、明確な、方向性が、ある。 これが、日本の、優れた研究者の、素晴らしいところ。
主婦のわたしが、思うこと
わたしは、アンドロイドを、家に、置くつもりは、まだ、ない(笑)
でも、石黒教授の話を聞いて、技術の未来について、ちょっと、明るく、感じられるようになりました。
技術は、暴走することもある。 使い方を、間違えれば、人を、孤立させることも、ある。
でも、石黒教授のように、**「人と、社会を、つなぐ」**という、志を、持った研究者が、しっかり、いる。 そういう人たちが、未来を、作っていく。
だから、わたしは、安心して、目の前の、家族の暮らしを、大事にしていこうと思います。 そして、時々、テレビやYouTubeで、石黒教授の、しゃべりすぎな講演を、聞いて、未来に、思いを馳せる。
これも、なかなか、いい、暮らしの、楽しみ方だと思います。
さいごに
日本の、アンドロイド研究の第一人者、大阪大学の、石黒浩教授。
自分そっくりの、ジェミノイド。 認知症の方の、心を開く、テレノイド。 社会参加を、支える、AVITAのアバター事業。 そして、しゃべりすぎちゃう、講演スタイル。
すべてが、面白くて、深くて、あたたかい。
そして、石黒教授の、根本的な問い、
「人間とは、何か」
これは、たぶん、わたしたち、一人ひとりも、時々、考えるべき、大切な問い。
日々の家事や、育児や、仕事に、追われて、忘れがちだけれど、 時々、立ち止まって、**「自分は、なぜ、生きているんだろう」**と、考える時間。 それが、たぶん、豊かな暮らしの、根っこ。
それでは、もし、興味を持ってくれた方は、YouTubeで、「石黒浩 講演」で、検索してみてください。 きっと、しゃべりすぎな、面白い、研究者の姿を、見ることが、できます。
そして、石黒教授の書籍、『ロボットとは何か』『アンドロイドになった私』、機会があれば、読んでみたいです。 わたしも、近所の図書館で、探してみようと思います。
それでは、この夏、テクノロジーの未来に、ちょっとだけ、思いを馳せながら、目の前の暮らしを、大事にしていきましょう。 ぼちぼちと、参りましょうね。
