ここ数日、わが家のテレビは、台風のニュースばかりです。
「台風7号、関東に接近」 「進路に注意」 「千葉県で記録的な大雨」
夫が「今度の台風、強そうだな」と、夕食のときにつぶやく。 わたしは、洗濯物を取り込もうかどうしようか、ベランダと天気予報の画面を、何度も見比べる。
そして、思ったんです。
「台風の進路予想って、なんでこんなに、ブレるんだろう」
数日前、「東日本に直撃のおそれ」と言っていたはずなのに。 昨日になったら、「進路が東にそれた」「温帯低気圧になりそう」と、ニュースのトーンが変わる。 そして、ふたを開けてみたら、思ったより、わが家(つくば市)は平和だった。
でも、千葉では、観測史上最大級の大雨が降った。 わたしの予想は当たらない、気象庁の予想もブレる、でも、結局、降るところには、すごい雨が降る。
「台風の予想って、本当に当たるの?」
ふと、調べてみたら、面白いことがわかったんです。 わたしが「外れた」と感じていた予想、実は、「そう設計されている」というのが、本当のところでした。
今日は、その「台風予想が、なんでブレるのか、調べてみた話」を、お話しさせてください。 カラス記事、うろこ雲記事に続く、わたしの「雨と予兆」シリーズの完結編、みたいなつもりで、書きます。
まず、わたしの実感
主婦目線で、正直に書きますね。 台風予想を見ながら、家事の判断をすることって、けっこう、多いんですよ。
- 洗濯物を干すか、取り込むか
- 買い物を、今日するか、明日にするか
- 子どもの習いごとが、休みになるかどうか
- 窓を養生テープで補強するか
- ベランダの鉢植えを、室内に避難させるか
これ、全部、台風予想を見て決めている。 そして、
「予想通り直撃すると思って準備したのに、ぜんぜん影響なし」 「そんなにすごくない、と思って油断したら、大雨」
こういうことが、本当に、よくあるんです。 わたしの周りの主婦友達と話しても、
「いつも外れるよね」 「もう信じないようにしてる」 「予報、ブレすぎ」
という愚痴で、けっこう盛り上がります。
なんで、こんなに、ブレるんだろう?
気になって、調べてみました。
そしたら、知らなかったことが、いろいろ。
気象庁の「予報円」の本当の意味
気象庁の台風予報、テレビでよく見る、白い破線の円(予報円)があるじゃないですか。 あれ、わたし、ずっと「台風が来る範囲」だと思っていたんです。
でも、調べたら、違っていました。
予報円というのは、
「台風の中心が、その円の中に入る確率が、70%」
という意味だったんです。
つまり、100回のうち70回は予報円内に来るけど、30回は予報円から外れる、ということ。
これ、知らなかった。 「気象庁、たまに外しても仕方ないんだ」と思っていたら、
「最初から、30%は外れることを想定して、円を描いている」
そういう設計だったんですね。
すごく正直なシステム、と言えるかもしれない。 **「100%当たります」**なんて言わない。 「70%の確率で、ここに来ます」と、ちゃんとリスクも示している。 これ、信頼してもいいのか、信頼しちゃいけないのか、ちょっと微妙な気分(笑)
なぜ70%なのか
これも気になって、調べました。
台風の進路を完全に予測するのは、たぶん人類には、まだ無理なんだそうです。
理由は、
- 大気の動きは、ものすごく複雑(蝶々の羽ばたきで、地球の裏側の天気が変わる、というやつ)
- 海面水温、上空の風、地球の自転、いろんな要素が絡み合う
- コンピューターのモデルでも、計算しきれない部分がある
そして、
- 24時間先の予報は、わりと当たる
- 3日先の予報は、それなりに当たる
- 5日先の予報は、ブレが大きくなる
つまり、台風が遠くにいるとき(5日くらい先)の予報は、ブレるのが当たり前。 台風が近づくにつれて(24時間先くらい)、精度が上がっていく。
これ、わたし、知らずに、「5日前の予報と、今の予報が違う!」と怒っていた(笑) 最初から、5日前の予報は精度が低い、ということだったんですね。
気象庁、ちゃんと進化している
ここからが、調べていて「ああ、そうか」となった話。
気象庁の台風予報、長い目で見ると、着実に精度が上がっているそうです。
具体的には、
- 1982年:24時間先の予報を、初めて発表
- 1989年:48時間先の予報を、追加
- 1997年:72時間先(3日先)の予報を、追加
- 2009年:96時間先・120時間先(4日先・5日先)の予報を、追加
そして、数値予報モデル(コンピューターで天気を計算するやつ)も、年々進化している。 わたしが子どもの頃、台風予想は、今より、もっと荒っぽかったはず。 今は、世界でもトップクラスの精度になっている、と。
つまり、わたしが「外れた」と感じる予報も、実は、何十年もかけて、ちょっとずつ進化した結果なんですね。
これを知って、気象庁の方たちに、ちょっと申し訳なくなりました。 わたしが愚痴っている間にも、コンピューターでものすごい計算をして、できる限り正確な予報を、6時間ごとに更新して、出してくれている。 それを、わたしは、ベランダから「当たらないなあ」と眺めていた。
なぜ、ブレやすい台風が、特にブレる
調べていて、もうひとつ知ったこと。
予報円の大きさは、台風の種類によって変わるんだそうです。
- 進行方向や速度が安定している台風:予報円が小さい=ブレが少ない
- 進行方向が不安定な台風:予報円が大きい=ブレが大きい
つまり、ブレやすい台風は、気象庁も最初から「ブレるよ」と教えてくれている。
そういえば、今回の台風7号も、予報円がけっこう大きかった気がする。 わたし、その時点で「ああ、これブレるパターンだ」と気づくべきだったんですね。 ちゃんと、見ていなかった、わたしの落ち度。
それでも、わが家の準備は、必要
ただし、ここからが大事。
予報がブレるからといって、準備をしないわけにはいかない。
千葉で、今回、観測史上最大級の大雨が降りました。 被害に遭われた方々のニュースを見ていると、本当に胸が痛い。 予報が「直撃」と言っていなくても、台風から離れた地域でも、大雨で甚大な被害が出ることがある。
予報がブレる、ということを知った上で、
「最悪のケースを想定して、準備する」
これが、いちばん大事なんだと、改めて思いました。 わたしの「外れた、ホッ」は、ある意味、運がよかっただけ。 別の場所では、誰かが「当たって、大変だった」と被害を受けている。
わが家の、台風準備リスト
ここで、わが家が普段やっている台風準備を、書いておきますね。 「外れる前提」でも、念のため、やっておくこと。
①ベランダの片付け
鉢植え、ハンガー、洗濯バサミ、軽いもの、全部、室内に。 飛ばされて、近所の家を壊したり、人にぶつかったりしたら、本当に取り返しがつかない。
②水の備蓄
ペットボトルの水を、念のため、家族の人数×3日分は用意。 停電・断水になっても、しばらくしのげるように。
③懐中電灯と電池
停電に備えて、すぐ使える場所に。 わが家は、廊下の引き出しに、常に1個入れています。
④スマホの充電
満タンにしておく。 モバイルバッテリーも、フル充電。
⑤窓ガラスの養生(本当に強い台風のとき)
養生テープで「米」の字に貼る、と言われているけれど、わたし、これ毎回ためらいます。 本当に必要なときと、過剰なときがあって、判断が難しい。 今回は、千葉で大雨だったので、念のため、リビングの大きな窓だけ、貼りました。
⑥猫の食事と水
ミケとソラ(うちの猫2匹)のために、いつもよりちょっと多めに、ドライフードを用意。 万が一、停電で買い物に行けなくなっても、3日くらい持つように。
⑦家族の避難経路の確認
避難所はどこか、家族で話し合っておく。 わが家は、近所の小学校が指定避難所。 今のところ、避難するレベルの被害は経験していませんが、いざというときの心づもりとして。
これだけ準備しても、結局、たいしたことなく終わることが、ほとんど。 でも、それで、いい。 準備して、何もなかった、というのが、いちばんいい結果。
子どもたちと、台風
夕食の席で、台風予想の話を、家族でしました。
わたし:「気象庁の予報、70%しか当たらないんだって」 長男(中2):「うちの学校、台風で休みになる、ってメール来たけど、結局降らなかったときもあったな」 わたし:「そうそう、それが30%の方ね」 長女(小4):「お母さん、明日も降るの?」 わたし:「降るかもしれないし、降らないかもしれない」 夫:「……それじゃ、予報の意味なくね?」
夫の鋭いツッコミ。
でも、これが、たぶん、現代の天気予報の正直な現実。 「確率」として伝える、それ以上のことは、技術的にできない。 わたしたちは、確率を聞いて、自分なりに判断するしかない。
長女が、
「じゃあ、傘、持って行ったほうがいい?」
と、純粋に。 わたしは、
「うん、持って行きなさい。重くないでしょ」
と、答えました。
予想が外れることを覚悟して、傘を持って出る。 これがいちばん大人の対応かもしれません。
カラスとうろこ雲と、台風予報
ここで、ふと、思い出しました。
以前、カラスがうるさいときに雨が降るのか、と調べた話を書きました。 うろこ雲が出ると3日以内に雨が降るのか、も、書きました。
そして今、台風の予想を調べている。
雨が降るかどうか、を予測する手段として、
- カラスの鳴き声(科学的根拠は薄い、当たったり外れたり)
- うろこ雲(科学的根拠あり、7割の的中率)
- 気象庁の台風予報(数値予報モデル、約70%の精度)
調べてみたら、気象庁の最新の予報も、うろこ雲の言い伝えも、的中率は同じくらいなんですよね。
うろこ雲は、何百年もの人間の観察から生まれた経験則。 気象庁の予報は、現代のスーパーコンピューターによる科学的予測。 道具は全然違うけど、結局、自然を相手にする限り、100%は無理ということが、共通している。
これ、なんだか、面白いんですよ。 人間が、どんなに科学を進歩させても、自然を完全に予測することはできない。 昔の人も、現代の人も、同じくらい、自然の前では、控えめにならざるを得ない。
そう思うと、気象庁の方たちが、6時間ごとに必死に更新している予報も、昔の人が空を見て「うろこ雲だ、雨が来るぞ」と教え合っていたのも、本質的には、同じ営みなんですね。 自然を観察して、できる限り未来を読もうとする、という、人類の終わらない努力。
さいごに
台風の予想、当たらないなあ、と感じる主婦の朝。 でも、調べてみたら、
- 気象庁の予報円は、最初から70%の的中率を想定している
- 5日先の予報は、特にブレる
- それでも、長い目で見れば、予報精度は着実に上がっている
- そして、自然を100%予測するのは、たぶん永遠に無理
そういう「外れる前提」を理解した上で、わが家は、
- 念のための準備をしておく
- 外れたら「ラッキー」と思う
- 当たったら、家族と猫を守る
これくらいの心持ちで、夏の台風シーズンを、乗り切ろうかな、と思います。
千葉の大雨で被害に遭われた方々が、一日も早く、いつもの暮らしに戻れますように。 そして、これからの夏、皆さまの地域に、深刻な被害が出ないことを、祈っています。
それでは、台風が来そうな日は、念のため、ベランダを片付けて、水を備えて、家族と猫の安全を、いちばんに考えて、過ごしてくださいね。 予想は外れるかもしれないけれど、**「外れて、ホッとする」**ためにこそ、準備するんだと思います。
