「夏に採れたてのナスで、麻婆茄子作ってみたいよね」
そんな会話を、なんとなく夫としたのが、たぶん去年の5月。 ベランダにプランターをひとつ置いて、近所のホームセンターでナスの苗を1本買ってきて、軽い気持ちでスタートしたんです。
結果から先に言いますね。
1年目は、なすび2個しか採れませんでした。
しかも、そのうちの1個は、なんだかカチカチで、味も「うーん……」という感じ。 「えっ、ナスってこんなに難しいの?」と、本気でへこみました。
でも、2年目。 ちゃんと調べて、失敗ポイントを潰したら、夏の終わりまでに30個以上採れたんです。 家族で「ナス、もういいよ……」って言うくらい採れた。
今日は、その「1年目の悲惨」と「2年目の覚醒」を、全部正直にお話しします。 ナスを育ててみたい主婦の方の、何かのヒントになれば嬉しいです。
1年目、私が犯した5つの罪
ちょっと大げさですが、本当に全部失敗してたんですよ。 順番にお話しします。
罪その1:苗を、ものすごく適当に選んだ
ホームセンターで、たくさん並んでるナスの苗の中から、いちばん大きくて立派そうなのを選びました。 「やっぱり大きいほうが、たくさん採れそうじゃない?」と。
これ、完全に間違いでした。
家庭菜園の苗選びでは、「大きさ」より「節間が詰まっていて、葉っぱが厚い、しっかりした苗」を選ぶのが正解だそうです。 ヒョロッと背が高い苗は、ハウスの中で日光を求めて伸びてしまった「徒長(とちょう)」した苗で、家に持って帰っても育ちが悪い。
2年目は、苗の根元のほうから見て、「ずんぐりむっくり」してるやつを選びました。 背が低くても、葉っぱが濃い緑色で、茎が太いやつ。これが正解でした。
罪その2:プランターが、小さすぎた
これは見た目でもわかる失敗でした。 ナスは深さ30cm以上、容量25リットル以上のプランターが必要なんです。
1年目に使ったのは、たぶん容量10リットルくらいの、わりと普通のプランター。 これがもう、ナスにとっては窮屈すぎたみたいで、途中から葉っぱが黄色くなって、元気がなくなった。
2年目は、ホームセンターで深型の大きなプランター(40リットル容量)を買い直しました。 1500円くらいしました。1年目の苗代より高い。 でも、これで結果が劇的に変わったので、最初の投資としてはアリだったと思います。
罪その3:水やりが、雑だった
「植物だから、水あげればいいんでしょ」くらいの感覚で、朝、ジョウロでチャッと水をかけてました。 それも、毎日じゃなくて「気が向いたとき」に。
ナスって、実はものすごく水を欲しがる野菜なんですよ。 「茄子は水で作る」って言葉があるくらい。
特に夏場、葉っぱが大きくなってからは、朝晩2回、たっぷりと水をやるのが基本。 土の表面が乾いてきたら、プランターの底から水が流れ出るくらいまで、しっかりあげる。
これをサボると、実が大きくならない、皮が硬くなる、味が落ちる、と三重苦。 2年目はここを徹底しました。
罪その4:肥料、ぜんぜんあげてなかった
苗を植えるときに、培養土をそのまま使っただけ。 「肥料は1ヶ月後にあげる」って書いてあったのに、忙しくて忘れて、結局2ヶ月放置。
ナスは「肥料食い」と言われる野菜なんです。 実がつき始めたら、2週間に1回ペースで追肥しないと、栄養が足りなくなって実が太らない。
2年目は、化成肥料を100均で買って、プランターの縁に沿ってパラパラと撒く、を2週間に1回。 これだけでも、実のつき方が違いました。
罪その5:剪定?なにそれ、知らなかった
これがいちばんの大失敗。 ナスって、**「三本仕立て」**っていう育て方の基本があるんです。
簡単に言うと、メインの茎1本+脇芽2本=計3本だけ残して、それ以外の脇芽は全部摘み取る。 これをしないと、栄養が分散して、どの枝にもまともな実がつかない。
1年目の私は、脇芽が出るたびに「葉っぱが増えてる、嬉しい!」と思って、全部そのまま残してました。 結果、ジャングルみたいに葉っぱだけ茂って、実は2個。
2年目は、最初の花が咲いたあたりで、その下の脇芽を2本だけ残して、上の脇芽は全部つまむ。 それ以降に出てきた脇芽も、こまめにチェックして摘み取る。
これで、栄養がちゃんと実のほうに行くようになりました。
2年目、覚醒した私の管理スケジュール
ここからは、2年目に私が実際にやった管理スケジュールを、月ごとに書いておきますね。 ベランダのプランター栽培、1本立ての場合の流れです。
4月下旬:苗を買う、植え付ける
ゴールデンウィークが目安。 朝晩がまだ寒い日があるので、霜が降りなくなってから植えるのが安全。
苗を選ぶときは、
- 葉が濃い緑色
- 茎が太い、ずんぐりむっくり
- 一番花のつぼみが見える(これ重要)
「一番花のつぼみがついた状態の苗」は、すでに「実をつける準備ができてる」状態なので、植え付け後のスタートが早いんです。
植え付けるときは、プランターの底に鉢底石を敷いて、培養土を入れて、苗を植える。 ここで支柱を1本立てて、苗を軽く結ぶ。風で倒れないように。
5月:じっと見守る、整枝の準備
植えたばかりの頃は、まだ脇芽が出てこない。 水やりだけしっかりやって、見守る時期。
そのうち、葉っぱの付け根から小さな脇芽が出てきます。 これが出てきたら、整枝の準備。
一番花が咲いたら、その下の脇芽を2本残して、それ以下は全部摘む。 これが三本仕立てのスタート。
私、最初これが本当に怖かったんです。「せっかく出てきた脇芽を摘むなんて、かわいそう」って。 でも、これをやらないと、ナスは本気で実をつけてくれない。心を鬼にする必要があります。
6月:収穫スタート、追肥開始
最初の実がつき始めたら、2週間に1回の追肥をスタート。 化成肥料をプランターの縁にパラパラ。
そして、ここが大事なんですが、一番果(最初に実った実)は、小さいうちに収穫する。 6〜7cmくらいの、まだ小さい状態で収穫。 理由は、最初の実を大きく育てると、株の体力を使い果たして、後の実がつかなくなるから。
「もったいない」と思わずに、小さいうちに収穫して、株を大きく育てることに集中する。 これが、夏のあいだ長く採るための秘訣だと、おばあちゃんが教えてくれました。
7月:更新剪定という大手術
7月の半ばから後半、株が疲れてきます。 葉っぱが少し黄色くなったり、実が小さくなったりする。
ここで、思い切って枝を半分くらい切り戻す。 これを「更新剪定」と言います。
最初やったとき、本当に怖かったです。「こんなに切って大丈夫?」って。 でも、これをやることで、株がまた元気を取り戻して、秋ナスのシーズンに向けて新しい枝を伸ばしてくれる。
切ったあと、根の周りもスコップで軽く切って、新しい根が出るのを促す。 追肥もしっかりと。
ちなみに、更新剪定をやらないと、夏の終わりとともにナスのシーズンも終わってしまいます。 「秋ナスは嫁に食わすな」っていう昔の言葉がありますが、それくらい秋のナスは美味しいので、更新剪定は外せません。
8〜9月:秋ナスのシーズン
更新剪定から3週間くらいすると、新しい枝が伸びて、また花が咲き始めます。 そこから、秋ナスのシーズンに突入。
私、この秋ナスを初めて食べたとき、本当に感動しました。 夏のナスより、皮が薄くて、実がふっくらしてるんです。 焼きナスにしたら、夫が「これ、お店で出てくるやつより美味しい」と。
10月くらいまで採れ続けます。
わが家のナス、虫との闘い
2年目、もうひとつ覚悟したのが虫対策。 ベランダ栽培でも、油断すると虫が来ます。
アブラムシ問題
新芽に小さな緑色の虫がびっしりついてるのを見つけたとき、本当にゾッとしました。 これがアブラムシ。
私の対処法は、
- 見つけたら、ティッシュでつまんで取る(これが地味に有効)
- 牛乳を水で薄めてスプレー(乾くと膜になって、アブラムシが窒息する)
- テープでペタペタくっつけて取る
殺虫剤は、子どもがいる家なので使いたくなくて、ぜんぶ手作業。 毎朝、ナスのチェックが日課になりました。
テントウムシダマシ問題
テントウムシに似てるけど、葉っぱを食べる「テントウムシダマシ」という虫がいます。 これがやっかいで、葉っぱをレースみたいに食い荒らす。
見つけたら、即つまんで処分。 これは本当に容赦なくやらないと、株が弱ります。
コンパニオンプランツという裏技
2年目の途中で知ったんですが、ナスの近くにバジルやマリーゴールドを植えると、虫が寄りにくくなる、らしい。
物は試しで、小さいプランターにバジルを植えて、ナスの隣に置いてみました。 完全に虫が来なくなったわけじゃないけど、なんとなく前より減った気がします。
バジルはバジルで、夏のあいだ薬味として使えるので、一石二鳥でした。
連作障害、これも要注意
これ、来年に向けて知っておいてほしいことなんですが、ナスは連作障害が出やすい野菜です。 つまり、同じ土で続けてナスを育てると、3年目くらいから極端に育ちが悪くなる。
対策は、
- 来年は、土をぜんぶ入れ替える
- もしくは、土に「連作障害用の改善剤」を混ぜる
- プランターを別の場所に移動する
わが家は、来年は土をぜんぶ新しくする予定。 古い土は、ベランダの隅で日光に当てて、再生処理してから、他の野菜に使い回します。
ナス栽培、けっこう手間だけど、得られるもの
正直に書くと、ナス栽培はぜんぜん楽じゃないです。 1日2回の水やり、整枝、追肥、虫チェック。 夏休み中に旅行に行くときは、夫に「ナス、頼むね」って言うレベル。
でも、得られるものも、けっこうあります。
家族との会話が増えた 「今日、ナス何個採れた?」が、わが家の夏の挨拶になりました。 長男(中2)は普段あんまり会話してくれないけど、ナスの話だけは「お、ふくらんできたじゃん」と乗ってくる。
長女が野菜嫌いを克服しかけた 普段、ナスをぜんぜん食べなかった長女が、自分で採ったナスは食べるんですよ。 「私が育てたから」って、自分から包丁を手にしてくれて。 家庭菜園、食育に効くんだなと実感しました。
買い物のときの目線が変わった スーパーで野菜売り場を見るとき、「これ、育てるの大変だったろうな」と思うようになりました。 農家さんへの尊敬の気持ちが、ぐっと深まった。
ベランダがちょっと自慢 夏の終わり、ベランダのナスを見ると、なんだか達成感があります。 これ、お金で買える感覚じゃないなと思いました。
これから始める方へ
最後に、これからナス栽培を始める方へ、私からの3つのアドバイス。
①最初の投資はケチらない プランターと培養土だけは、ちゃんとしたものを買ってください。 ここをケチると、私の1年目みたいになります。 合計3,000円くらいかかりますが、毎年使えるので元は取れます。
②脇芽摘みは、心を鬼にして 「かわいそう」と思わずに、ガンガン摘んでください。 摘めば摘むほど、ナスは元気になります。
③1年目で諦めない たぶん、1年目はうまくいきません。私もそうでした。 でも、2年目で景色が変わります。失敗をひとつずつ覚えて、潰していくのが家庭菜園の醍醐味です。
さいごに
ナスを育てるようになって、なんだか、夏が以前より少し楽しくなりました。
朝、ベランダに出て「おはよう」と話しかける(これは私だけの秘密)。 収穫したナスで、その日の夕飯のおかずを決める。 家族が「今日のナス、うまいね」と言ってくれる。
ちいさな循環ですが、こういうのが、暮らしの中の宝物なんだなと思います。
スーパーで200円で買えるナスを、何ヶ月もかけて育てる。 コスパ的には完全に赤字です。 でも、得られる満足感は、200円じゃ買えない。
それでは、今日もどうぞ、ご自分のペースで、ゆるく楽しんでくださいね。
