ある日の朝、長男(中2)が、洗面所の鏡の前で、ものすごく真剣な顔をしていました。
何をしているのかと見たら、前髪を、左右に分けようとしていた。 それも、ど真ん中で。
「ねえ、母さん。これ、どうやったらきれいに分かれる?」
聞かれて、私、固まりました。 「センターパート」。 最近、男子高校生や中学生の間で流行っているらしい、髪型。 真ん中で分けて、両側にふわっと垂らす、あれ。
長男、それまで、髪型にゼロ興味だった子なんです。 小学生のときは「短くしたらいいじゃん」レベル。 中学に上がっても、ボサボサのまま放っておくタイプ。
それが、ある朝、突然、センターパート挑戦。
「思春期、来たんだな……」
私、ちょっと感慨深くなりました。 そして、そこから始まったのが、ワックス選びの長い旅でした。
今日は、その「中学生男子のセンターパートに、母が巻き込まれた話」を、ワックスの種類や選び方を含めて、お話しさせてください。 同じくらいの年頃のお子さんがいるお母さんの、何かの参考になれば嬉しいです。
まず、私がぶつかった「ワックスがいろいろありすぎる問題」
長男のセンターパート挑戦を応援することにした私。 近所のドラッグストアに、ワックスを買いに行きました。
そこで、初めて気づきました。
ワックス、種類が多すぎる。
棚の前で、私、5分くらい立ち尽くしました。 昔、夫が独身時代に使っていた「整髪料」ってジェル1択だった気がするのに、今は同じ「ヘアワックス」のカテゴリーに、本当にたくさんの種類がある。
しかも、それぞれ全然違う質感らしい。 ボトルやチューブの形も違うし、容量も違うし、値段もピンキリ。
「これ、どれ買えばいいの……?」
途方に暮れて、長男に電話しました。 「あんた、どういうワックスがいいか、調べてきた?」 「YouTubeで見たけど、種類が多すぎてわからん」
母も子も、わかってない。 仕方なく、店員さんに聞いて、家に帰ってから自分でも調べて、ようやくワックスの種類を理解しました。
ワックスには、大きく分けて4種類あった
調べた結果、ワックスは大きく分けて、こんな種類があるとわかりました。 たぶん、私と同じく「ワックスってなんとなく1種類しかないと思ってた」お母さん、けっこういると思うので、書いておきますね。
①ファイバーワックス(繊維入り)
中に繊維が入っていて、髪を伸ばしながら毛束を作るタイプ。 柔らかくて、初心者でも扱いやすいらしい。 長男みたいに、ふわっとしたセンターパートを作りたい場合、けっこう向いている、と店員さんに言われました。
②ファイバーワックスより硬めの、クリームワックス
文字通り、クリーム状のワックス。 ファイバーワックスほど柔らかくないけど、ジェルほど硬くもない。 中間的な質感で、ナチュラルな仕上がりになる。
③マットワックス
ツヤなし、マット仕上げのワックス。 ふわっとした「無造作」な感じが出る。 若い男の子のセンターパートには、これがけっこう人気らしい。
④ジェルタイプ
がっちりキープしたい人向け。 ツヤが出て、髪がピシッと固まる。 昭和のお父さんが使っていたタイプ(夫の独身時代のあれ)。 長男のふわっとセンターパートには、たぶん向かない。
私と長男の、ワックス選定会議
ドラッグストアで悩んだあと、家で長男と「会議」を開きました。
私:「YouTubeで見たやつ、どんな感じだった?」 長男:「ふわっとしてて、テカテカしてないやつ」 私:「じゃあ、たぶんマットワックスじゃない?」 長男:「マット?」 私:「ツヤがないやつ。テカテカしないらしい」 長男:「それかも」
ということで、まずはマットワックスを試してみることに。
ただ、店員さんに「最初はそんなに高くないやつでいい」と言われたので、1,000円前後のものから始めることにしました。 合わなかったら、買い直し。 これも、ひとつの勉強。
初回:ワックスのつけすぎ事件
買ってきたマットワックス、長男が初めて使った朝。
学校に行く前、長男が洗面所から出てきた瞬間、私と娘(小4)、両方が固まりました。
髪が、ベタッ、と頭にくっついている。
ふわっとした「センターパート」とは、ほど遠い。 むしろ、油でカチカチになった、何かに見える。
「あんた、何つけたの……?」 「マットワックス」 「どれくらい?」 「うーん……このくらい?」
長男が両手の手のひらを合わせて見せたサイズが、もう、多すぎ。 中学生男子の手のひら2杯分なんて、頭1個まるごとコーティングできる量。
「いやそれ、つけすぎだから!」
慌てて、長男を洗面所に戻し、軽くシャンプーで流して、もう一度やり直し。 時間がないので、ぐちゃぐちゃのまま、その日は学校に送り出しました。
夜、帰ってきた長男に、私は教えました。 「ワックスはね、米粒2粒分くらいから始めるのよ」 「えっ、そんなに少ないの?」 「足りなかったら、足せばいいだけ。最初から多いと、洗うしかないんだから」
これ、今思えば、ワックスのいちばん大事な基本でした。 「少なめから」。 たぶん、世界中の美容師さんが、新人さんに最初に教えてる原則。
朝の3分でセンターパートを作る、母子のチャレンジ
ワックスの量を覚えた長男、今度はつけ方で苦戦し始めました。
センターパート、見た目はシンプルだけど、ちゃんと作ろうとすると、意外に難しい。
- まず、髪を少し濡らす(完全に乾いた状態だと、ワックスが馴染まない)
- 真ん中で分け目を作る(コームでまっすぐに)
- ワックスを手のひらで温めて、両手にしっかり伸ばす
- 指の腹で、髪の中間から毛先にかけて、馴染ませる
- 最後に、手ぐしで全体を整える
文字で書くと簡単そうですが、これを朝の忙しい時間に、中2男子がひとりでやる。 最初の1週間は、毎朝、長男の部屋から「あー」とか「うー」とかの呻き声が聞こえてきました。
私が手伝いに行くと、「いい、自分でやる!」と追い払われ、 でも10分後、「やっぱ、見て」と呼ばれる。 思春期男子、扱いにくいなあ、と思いつつ、ちょっと面白くなってきました。
ワックスを変えてみた話
マットワックス、長男はそれなりに気に入ったみたいですが、 ある日、「もうちょっとふわっとしたい」と言い始めました。
ドラッグストアに、また私が連れて行かれて、今度はファイバーワックスを試してみることに。
これ、使った日、長男の朝の声が違いました。 「あ、こっちのほうが、形が作りやすい」
ファイバーワックスは、繊維のおかげで、髪の毛束ができやすい。 無造作な「ふわっと感」が、長男の理想に近かったみたいです。
結局、わが家にはいま、
- マットワックス(キープ力強め、固めたい日用)
- ファイバーワックス(ふわっと感、普段用)
の2種類が、洗面所に並んでいます。 長男、その日の気分で使い分けてる。
中2男子が、ワックスを使い分けてる。 3か月前まで、髪なんて全然気にしてなかった子なのに。 これも、成長なんでしょうね。
ワックスを使い始めて、地味に変わった家のこと
長男のワックスデビューで、わが家で地味に変わったこと、いくつかあります。
洗面所が、ちょっと込み合うようになった
長男が朝、洗面所を占領する時間が、明らかに長くなりました。 夫も「俺の朝の準備が押される!」と、ちょっと不満そう。 洗面所の使用順を、家族で話し合うようになりました(笑)
枕カバーの洗濯頻度が上がった
ワックスがついた髪のまま寝ると、当然、枕カバーが汚れる。 長男には「夜はシャワーで流してから寝てね」と言ってますが、たまに忘れる。 枕カバー、夏は週2、3回洗うようになりました。
お風呂のシャンプーの減りが早くなった
これは長男だけの責任じゃないと思うけど、シャンプーの消費が、なんとなく早い。 中学生男子+ワックス、コストもけっこうかかります(笑)
親子の会話が、ちょっと増えた
これが、意外な収穫。 ワックスとか、髪型とか、思春期男子と話せる共通の話題ができた。 「今日はどうやったの?」「YouTubeで誰の見たの?」みたいな、地味なやり取り。 反抗期で口数が減っていた長男が、ちょっとだけ、口数が増えた気がします。
ワックス選びで、私が学んだこと
最後に、ワックス初心者母として、学んだことをまとめておきます。
①ワックスには種類がある ファイバー、クリーム、マット、ジェル。それぞれ仕上がりが違う。 「YouTubeで見たやつ」がどのタイプなのか、まず確認するのが正解。
②少なめから始める 米粒2粒分くらい。多すぎるとベタつくし、減らせない。 足りなければ足す。これ鉄則。
③最初は1,000円くらいの安いやつから 合うか合わないかわからないので、最初から高価なやつを買わない。 合わなかったら買い直す、を前提に。
④髪を少し濡らしてから使う 完全に乾いた髪だと、ワックスが馴染まない。 霧吹きで軽く湿らせるくらいでOK。
⑤手のひらで温めてから、伸ばす 冷たいワックスは、髪に馴染みにくい。 手のひらで2、3回こすってから、髪に。
⑥夜は、ちゃんと洗い流す ワックスついたまま寝ない。枕も髪も汚れる。
さいごに
中2の息子が、ある朝突然「センターパートにしたい」と言い出して、ワックス選びの旅が始まって、もう3か月くらいになります。
最初は、本当に何もわからなかった。 ワックスの種類も、つけ方も、量も。 ベタベタになって、笑って、やり直して、また失敗して、少しずつ上達して。
思春期の入り口に立った長男と、母の私が、毎朝、洗面所で「ふわっと感」について話している。 3年前の私が見たら、「えっ、何これ?」って絶対なる風景です。
子どもの「やりたい」に巻き込まれるって、たまにこういう想定外があるんですね。 ちょっと面倒くさい。 でも、嫌じゃない。
夫が「俺もマットワックス試そうかな」と言い出したのは、また別の話です(笑)
それでは、同じくらいの年頃のお子さんがいるお母さんへ。 ある朝突然、思春期の入り口に立っているお子さんを見るかもしれません。 そのとき、ちょっとだけ、巻き込まれてあげてください。 たぶん、けっこう、いい時間ですよ。
